世界の自動車用インテリア照明市場は、2026年までに57億6,160万ドルに達すると予想され、2020年から2026年のCAGR(年平均成長率)は6.0%となる見込みのようだ。市場調査レポートプロバイダーのReport Oceanが発行した新しいレポートで触れられている。
世界の自動車用インテリア照明市場が拡大する要因の1つに「自動運転」がある。自動車が自動運転化すれば、それまで運転手が運転していた時間が「可処分時間」となり、読書をしたり映画を観たり睡眠をとったりと、車内での人の行動が多様化する。
そして、多様化した行動の1つ1つに最適化した照明システムのニーズは確実に高まると考えられ、この点が自動車用インテリア照明市場の拡大に寄与するとみられている。
単純に照明のオン・オフのランプではなく、照度や色みを細かく調整できるものや、自動運転で目的地に着いたら自動で照明がオンになり起床を促すシステムなど、工夫された照明システムが登場しそうだ。
こうした市場の有望性もあり、照明メーカーが自動運転領域に参入するケースが徐々に増えてくるものと考えられる。
■自動運転車の車内での行動の多様化と「裾野産業」
自動運転車の裾野産業と言えば、LiDARやカメラなどのセンサーや組み込みソフトウェアなどが思い浮かびやすいが、照明システムも立派な自動運転車の裾野産業の1つだ。
照明システムのように、さまざまな行動を人々が車内ですることで裾野産業として成立する領域としては、ほかにも「大型ディスプレイ」などがある。従来のようなカーナビや車載テレビのためのディスプレイではなく、大画面で映画などを楽しむためのディスプレイだ。
先ほども少し触れたが、運転手だった人が運転から解放されると、移動中の車内で映画を観たい人も出てくるはずだ。そうなれば、確実に大型ディスプレイのニーズは生まれる。
ちなみに車内で大型ディスプレイを設置すると外の景色が見えにくくなるが、自動運転であれば問題ない。人が外を見えなくても、運転に支障が出ないからだ。
■「裾野の裾野」を含めれば自動運転市場はさらに広くなる
裾野産業だけでなく「裾野の裾野」まで考えると、自動運転市場はさらに広がりをみせる。「裾野の裾野」産業としては、例えば「センサー用のワイパー」がある。
裾野産業の1つに数えられるセンサーは、人の目の代わりの役目を果たす重要な要素だが、雨やほこりで視界が遮られると検知能力が低下す恐れが出てくる。そのため、センサー用のワイパーが必要となってくるわけだ。
いまは自動車と全く関係のないビジネスを展開している企業であっても、このように創造力を働かせれば、まだどの企業も参入していない裾野産業や裾野の裾野産業にビジネスチャンスを見出せるかもしれない。
【参考】関連記事としては「自動運転化で広がる「裾野の裾野」産業に注目せよ」も参照。