自動車部品大手の株式会社デンソー(本社:愛知県刈谷市/取締役社長:有馬浩二)は2021年2月1日までに、自動車向けのセンサーを開発する米スタートアップ企業Aeva(エヴァ)と、次世代LiDARの共同開発を開始することを発表した。
■AevaはFMCW方式のLiDAR開発で強み
現在、一般的に使用されているLiDARは、TOF(Time of Flight)方式が採用されている。極めて短い時間間隔で断続的にレーザー光を照射し、レーザー光が物体に反射して返ってくる時間を計測し、物体との距離や方向を検知するという仕組みだ。
一方、Aevaが開発するLiDARはFMCW(周波数連続変調)方式を採用している。光の周波数を変えながら連続でレーザー光を照射し、反射波と送信波の周波数の変化から物体との距離や方向、物体の移動速度が計測できる。歩行者や自転車など移動しているものを高い精度で検出できることが強みだ。
報道発表によると、今回の共同開発でデンソーのセンシング技術や実用化への知見とAevaの技術を組み合わせ、高性能な次世代LiDARを開発し、実用化・量産化を目指すという。
■2021年内のSPAC上場を目指しているAeva
Aevaは、米Apple社で自動運転プロジェクト「タイタン(Titan)」に関わった技術者2人が2017年に設立した会社だ。設立から1年で従業員は100人を超え、その後も開発体制を強化している。
FMCW方式のLiDARを開発しているほか、コンパクトでエネルギー効率の良いセンサー開発でも強みがあることで知られ、2021年にSPAC(特別買収目的会社)のInterPrivate Acquisition Corpと合併し、米国市場での上場を目指している。
デンソーとAevaの共同開発によって市場競争力の高いLiDAR製品が誕生するのか、注目だ。
【参考】関連記事としては「米スタートアップAeva、50億円を資金調達、自動運転向け小型センサーの性能強化へ」も参照。