日本航空(JAL)と三井住友海上火災保険、MS&ADインターリスク総研は2020年10月6日までに、次世代エアモビリティ「eVTOL」(電動垂直離着陸機)を開発している独Volocopter(ボロコプター)と業務提携したことを発表した。
Volocopterの日本進出に向けた市場調査や日本でのeVTOLの社会実装に向けて共同で取り組むという。将来的にはeVTOLを活用した新しい移動・物資輸送サービスの実現も視野に入れており、実証実験の実施や社会受容性の向上などに関する議論も共同で行うという。
独スタートアップのVolocopter社は、eVTOLのパイオニア的存在だ。2011年に世界初と言われる有人飛行を実施し、2017年にはドバイでエアタクシーのテスト飛行を行った。2019年には空飛ぶタクシーの有人試験飛行をシンガポールで成功させている。
■空を舞台にした移動革命や物流革命は近い
こうしたeVTOLのパイオニア的存在であるVolocopter社と日本の3社がタッグを組むことになった今回の発表は、空を舞台にした移動革命や物流革命が日本においても近いことを如実に感じさせる。JALや三井住友海上などはこれまでにこの分野で積極的な動きを見せているからだ。
例えばJALは、空の移動に関わる安心・安全運航のノウハウを活用し、「シームレスな移動・輸送を実現する、総合エアモビリティサービス」の提供を目指している。
2019年1月には、コーポレート・ベンチャーキャピタルファンド(CVC)「Japan Airlines Innovation Fund」を設立し、次世代モビリティに関連する企業に出資を行なっている。2020年2月には住友商事と「空飛ぶクルマ」関連の新規事業をスタートさせている。
三井住友海上は、多様なモビリティに対応したリスク引受実績やノウハウを活用し、次世代エアモビリティ向けの商品・サービスの開発を進めている。
■実用化にはリスクマネジメントも欠かせない
次世代エアモビリティの実用化には、機体を開発・製造する技術に加え、保険制度などのリスクマネジメントが欠かせない。こうした意味でも、今回の提携は次世代エアモビリティの実用化を前進させるものだと言える。Volocopterと日本の3社による取り組みに注目だ。
【参考】関連記事としては「eVTOLとは?「空飛ぶクルマ」の類型の一つ、開発盛んに」も参照。