MaaS(Mobility as a Service)とは一言でいえば、さまざまな移動手段の検索・予約・決済をワンストップで行うことができるアプリやサービスのことを指す。加えて、宿泊施設やイベントなどの検索・予約・決済もできるようになれば、より利便性の高いサービスとなる。
こうしたMaaSシステムの実現には、さまざまな連携が必要不可欠となる。具体的には「交通事業者間の連携」と「情報の連携」だ。
そしてそれぞれにおいて、ジグソーパズルのようにさまざまなピース(移動手段や情報)がつなぎ合わされていくことで、より優れたMaaSサービスが構築されていく。
■「交通事業者間の連携」におけるピースは?
交通事業者間の連携におけるピースには、「電車」「バス」「飛行機」「旅客船」「タクシー」などの公共交通機関はもちろん、シェアサービスとして近年普及する「カーシェア」や「シェアサイクル」なども含まれる。
また最近は移動手段が多様化しており、リクエストに応じて運行する「オンデマンド交通」や、低速で公道を電動走行する「グリーンスローモビリティ」などもピースとして挙げられるだろう。将来的には「自動運転タクシー」なども含まれていく。
ただ、こうした交通機関は運営母体がそれぞれ異なっており、連携させていくには「まとめ役」がいる。MaaSプラットフォームの開発を手掛ける大手交通事業者などがいまはその役目を果たしており、MaaSの実現に向けた彼らの手腕に期待が掛かる。
■「情報の連携」におけるピースは?
情報の連携におけるピースとしては、MaaSの柱となる移動に関する情報として、交通機関の「運行情報」や道路の「渋滞情報」などが挙げられるが、そのほかにも「観光情報」「飲食店情報」「宿泊施設情報」「イベント情報」など、幅広い情報が求められる。
MaaSにおいては移動の円滑化が主な目的だが、宿泊施設やイベントなどを検索・予約・決済できるようになれば、さらに利便性が高まる。利便性が高まればユーザーの獲得にも結びつきやすく、予約取次手数料や決済手数料などによるマネタイズも見えてくる。
■国も連携に関するガイドラインを取りまとめ
この2つのジグソーパズルのピースをいかに多くつなぎ合わせていけるかによって、MaaSサービスの充実度は大きく異なってくる。ただ単にアプリやサービスを作っても、ピースのつなぎ合わせが進まなければユーザーにとって使い勝手の良いものにはならない。
国もこうした点に注目し、国土交通省は2020年3月、「MaaS関連データ検討会」で「MaaS関連データの連携に関するガイドラインver.1.0」を取りまとめている。
連携するデータ項目やデータ形式などが共有されることで、MaaSアプリの開発などで連携がより円滑に進むことが期待される。
【参考】関連記事としては「国交省、「MaaS関連データの連携に関するガイドラインver.1.0」を策定」も参照。