2021年の自動運転タクシーの市場規模は「617台」——。こうした興味深いデータが掲載されている市場調査レポートが、2021年9月30日までに発売開始された。
この市場調査レポートは、米コンサルティング企業のMarketsandMarketsがまとめたもので、自動運転タクシーの市場規模は2021年の617台から2030年には144万5,822台へと拡大するという。
この期間の年平均成長率(CAGR)136.8%で、9年間で台数が約2,300倍へと増える見通しだという。
■コロナ禍が自動運転タクシー普及の追い風に
調査レポートでは、2020年から続くコロナ禍が自動運転タクシー普及の追い風になったと分析している。
レポートでは、ライドシェアやタクシーサービスの需要が約80%も減少したことで、企業はドライバーを継続雇用する余裕がなくなり、将来的に運用コストを削減して利益率を高めるために、自動運転車を導入することを検討し始めているという。
また、車内にセーフティドライバーを乗せない自動運転レベル4以上でタクシーサービスを展開できれば、パンデミックが起きたときにも感染予防の面でメリットがある。こうした点も、自動運転車の導入を加速させる後押しとなるようだ。
■アメリカや中国で自動運転タクシーサービスが続々
ちなみに自動運転タクシーの商用サービスは、米Googleの自動運転事業を担うWaymo(ウェイモ)が2018年12月に米アリゾナ州フェニックスで世界で初めてスタートしており、2021年8月からは米サンフランスシスコでもサービスを開始している。
すでにセーフティドライバーを乗せない形でのサービスも一部で展開するWaymoだが、最近ではこの分野で中国勢の勢いも顕著になってきた。
2019年ごろから中国では自動運転タクシーの公道実証が活発化し、IT大手の百度や配車サービス大手のDidi Chuxing、スタートアップのWeRide、Pony.ai、AutoX、Momentaなどが、北京や上海、深圳、広州などでサービス展開や実証実験を進めている。
また、米インテル傘下のイスラエル企業Mobileye(モービルアイ)は、2022年からイスラエルのテルアビブとドイツのミュンヘンで無人の自動運転タクシーサービスを開始するようだ。「ヨーロッパ初」の自動運転タクシーサービスはMobileyeが濃厚と言われている。
Mobileyeは日本の高速バス大手WILLERとも提携しており、2023年から日本での自動運転タクシーの展開も視野に入れているようだ。
■市場規模の拡大のスピード感に注目
自動運転タクシーは運転手の人的コストが削減できることから、運賃は10分の1以下で運行が可能になると言われている。そのため、普及すれば自動車を所有せずに無人タクシーばかりを利用する人が増えるとみられる。
市場拡大が実際にはどの程度のスピード感で進んでいくのか、引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシーとは?開発競争が激化、既に商用サービスも」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)