日野が大ピンチ!?次世代物流に挑む子会社、「連続赤字」抜けられず

NEXT Logistics Japan、第6期は赤字4.2億円



出典:官報

日野自動車子会社のNEXT Logistics Japan株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:梅村幸生)=NLJ=の第6期(2023年4月〜2024年3月)決算が、官報に掲載されている。

当期純損失は、前期の5億900万円から赤字額を15.9%減らし、4億2,800万円であった。過去3期の純損益の推移は以下の通りとなっている。


<純損益の推移>
・第4期:▲4億4,700万円
・第5期:▲5億900万円
・第6期:▲4億2,800万円
※▲はマイナス

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■決算概要(2024年3月31日現在)

賃借対照表の要旨(単位:百万円)

▼資産の部
流動資産 189
固定資産 210
資産の部合計 399
▼負債及び純資産の部
流動負債 1,259
固定負債 337
株主資本 △1,197
資本金 418
資本剰余金 378
資本準備金 378
利益剰余金 △1,993
その他利益剰余金 △1,993
(うち当期純損失)(428)
負債及び純資産の部合計 399

■物流の課題解決のため日野自動車が設立

NLJは、ドライバー不足や積載率の低下といった課題に直面する物流業界の顧客のニーズに応えるための新しい物流のかたちを提案する新会社として、日野自動車により2018年6月に設立された。


具体的な取り組みとしては、省人化に向けては「ダブル連結トラックの実走」、物流の最適化・効率化に向けては「NeLOSS(ネロス)」を開発している。

NeLOSSは世界初の量子コンピューターを用いた物流最適化ソリューションシステムだ。人の手で2時間以上かかっていた配車と荷物の組み合わせを割り出す業務について、高速計算が可能な量子コンピューターを用いることで、約40秒で算出することができるようになる。

荷姿や重量、温度帯が異なる荷物においても、最適に積み込むための組み合わせを短時間で割り出すことができるため、作業時間が大幅に短縮されるとともに、緻密な運行計画の実行と積載率の向上が実現する。現在はNLJが自社の物流業務に活用しており、積載率が業界平均の38%から63%へと向上したほか、ダブル連結トラックなどの効果と合わせて43%の省人化、26%のCO2排出量削減などの成果が出ているという。


2023年12月からは、アサヒグループジャパンと共同で実証実験を開始している。アサヒグループジャパン傘下のアサヒロジが関東〜中部〜関西の拠点間の配送においてNeLOSSを活用する。外部システムとの適合性・連動性に加えて、荷姿・重量・発着地・運行車両などの情報を掛け合わせたシステムオペレーションの成立性を確認するという内容になる。

■物流課題解決に向けた枠組み「NLJ Plus+」

NLJは2022年12月に、ドライバー不足解消や脱炭素化といった物流業界が直面する社会課題の解決に向けた取り組みを日本全体でより一層加速することを目指して「NLJ Plus+」を設立した。

出典:NEXT Logistics Japanプレスリリース

現在、「ドライバー不足の解消」「カーボンニュートラル」「ホワイト物流の実現」という3つの社会課題の解決のため、リアルな輸送の最大効率化を追求しつつ、さまざまな最新のテクノロジーを実装し、資本参加するパートナー企業やNLJの取り組みに賛同するNLJ Plus+のメンバー企業と共に仕組みと枠組み作りを進めている。

設立当初からの参加企業は、味の素や花王、サントリーホールディングス、関空運輸といった荷主企業や物流事業者などで、2023年12月にドトールコーヒーやトヨタモビリティパーツ、リコーなど8社が新たに参加し、合計21社となった。

■NLJの取り組みに期待

NLJは、製造・小売・外食といったさまざまな業種における日本を代表する40 社を超える荷主・物流事業者を組み合わせた「異業種混載」といった取り組みも行っている。

また2024年9月には、シリーズBラウンドにて資金調達を実施したことを発表した。参加企業は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構や住友商事、アサヒグループジャパン、岡通ホールディングス、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタル、未来創造キャピタルとなっている。

この資金調達は、これまで培ったダブル連結トラックを活用した幹線・混載共同輸送のノウハウをさらに進化させ、NeLOSSの開発を一層推進することを目的としている。

さまざまな企業と物流課題の解決に取り組むNLJ。事業の黒字化はいつになるのかについても注目したい。

※官報に掲載された決算公告に関する記事は「自動運転・MaaS企業 決算まとめ」から閲覧頂くことが可能です。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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