自動運転事業を展開する中国企業DiDi Autonomous Drivingは2023年10月29日までに、同国の自動車メーカー大手である広州汽車集団(GACグループ)から出資を受けたことを発表した。
DiDi Autonomous Drivingは、中国配車サービス大手のDidi Chuxing(滴滴出行:ディディチューシン)が2016年に自動運転を研究開発する部門として立ち上げ、2019年に同部門を独立させ誕生した企業だ。
同社は、GACグループの完全子会社であるGAC Capitalと、Guangzhou Development District Investment Groupから、最大1億4,900万ドル(約224億円)相当の出資を獲得したという。これにより、自動運転技術の商用化を促進していく。
■DiDi×GACグループのタッグ
現在、DiDi Autonomous Drivingは広州と上海の一部地域でロボタクシーサービスを展開しており、1,200日間連続での安全運行を記録している。このサービスは、自動運転車と、人間が手動運転するクルマを組み合わせた混合配車モデルになっているという。
今回の資金調達にあたり、DiDi ChuxingのCTO(最高技術責任者)とDiDi Autonomous DrivingのCEO(最高経営責任者)を兼務するZhang Bo氏は、「GACグループとの戦略的パートナーシップを強化できることを嬉しく思う」と述べ、「GACグループからの強力な支援は、オープンで持続可能な混合配車ネットワークの構築を加速させ、ユーザーに安全で便利、かつコストパフォーマンスの高い自動運転サービスを提供するのに役立つ」とコメントしている。
またGACグループの副社長兼GAC Capital会長のYu Jun氏は、「DiDi Autonomous Drivingは、テクノロジーとシナリオベースのデータシステムにおいて卓越した強みを持っている」と評価している。また「我々はその成長の可能性を確信しており、協力して交通や自動車産業の変革を促進することを楽しみにしている」と期待感を示した。
■DiDiの自動運転の取り組み
DiDi Chuxingの自動運転分野に絡む資金調達や提携の一部を紹介すると、2020年6月にDiDi Autonomous Drivingのために5億ドル(当時のレートで約540億円)以上となる初の資金調達ラウンドをクローズした。
この資金調達に関しては、過去にもDidi Chuxingに対して出資を行っているソフトバンクグループのソフトバンク・ビジョン・ファンドが主導する形で資金調達が行われたとされている。
2021年5月には、スウェーデンの自動車メーカー・ボルボカーズと自動運転分野で戦略的パートナーシップを結んだことを発表した。最近では、2025年からEV(電気自動車)メーカーと共同開発した自動運転車両を量産するという報道があった。
今回の大型資金調達により、DiDiの自動運転開発はますます加速しそうだ。今後の展開にも注目したい。
【参考】関連記事としては「中国ライドシェア最大手DiDiが米市場で上場!ビジョンファンドが筆頭株主」も参照。