次世代交通MaaSのカギは「乗り捨てレンタカー」 Pathfinderが事業拡大

片道レンタカーのマッチングサービスを展開



出典:Pathfinderプレスリリース

さまざまな交通機関がシームレスにつながるMaaSでは、それぞれの交通手段がより便利に利用できるようになることが重要になってくる。

MaaS関連サービスを手掛けるPathfinder株式会社(本社:東京都板橋区/代表取締役:小野崎悠介)は片道専用レンタカー「カタレン」を提供しているが、2023年5月26日から新たに東京〜名古屋間で新路線を開設した。


乗り捨てができなかったレンタカーを片道で使えるようになることで、移動の利便性が高まり、MaaSサービスの底上げにつながりそうだ。

■自動運転社会を見越した取り組み

2020年設立のPathfinderは自動運転社会に向け、ワンウェイレンタカー事業や他社回送車両マッチング事業、車両配置最適化サービス開発を手掛けている。

カタレンは、日本初の出発店舗・返却店舗が固定の片道専用レンタカーのマッチングサービスだ。乗り捨て料金が掛からず、スマホアプリで鍵の解錠・施錠ができる。東京〜大阪でサービスを開始し、東京・神奈川〜成田や九州(福岡〜長崎〜鹿児島)にも展開エリアを広げている。2023年5月の累計会員登録者数は1万人を達成した。

出典:Pathfinderプレスリリース
■予約はLINEで完結、解錠はアプリで

予約は全てLINEで完結する。最初にLINEにて運転免許証の登録などを行い、希望利用日時をリクエスト予約する。事務局が車両を確保し、その後連絡が来る。支払いは事前にクレジットカードで行う。決済が完了すると、車両を駐車している場所の地図が送られてくる。


利用車両の解錠は、モバイルアプリ「FREEKEY」で行う。車両の返却の際は、LINEの通知から駐車場所を確認し、指定の場所に駐車できたら返却手続きを行う。その際に、給油レシートと満タン時のメーターの写真のアップロードが必要になるようだ。再びFREEKEYで施錠をし、返却完了となる。

利用料金は、10時間で税込み5,000円、24時間1万円、最大で72時間2万3,000円などとなっている。大手レンタカー会社でも、出発営業所とは別の営業所に返却できるサービスを行っているが、通常のレンタカー利用料に加え乗り捨て手数料が加算されるため、割高になっている。Pathfinderの料金設定は、かなり格安と言えるだろう。

■MaaSと相性の良い片道専用レンタカー

今回、東京〜名古屋に新路線を設定したカタレンだが、2023年6月には新横浜〜名古屋、五反田〜成田、京都エリアにも新設する予定で、7月以降も順次路線を拡大していくとしている。

MaaS社会においては、人々は公共交通機関やその他の交通手段を組み合わせ、経路検索や決済を1つのアプリでできるようになる。自家用車を使わない、もしくは自家用車と公共交通機関を組み合わせるなど、今後はモビリティを共有することも増えていくだろう。


カタレンを活用すると、例えば行きは新幹線、帰りは荷物が増えるのでレンタカーで、長期旅行のため行きの空港までレンタカーで、といった便利な使い方もでき、移動がもっと自由になる。アプリなどで完結するシステムを用いていることで、MaaSへの組み入れも容易であろう。

クルマの「所有からシェアへ」という流れは今後さらに進んでいきそうだ。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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