MaaSサービス「Whim(ウィム)」を提供するフィンランドのMaaS Global(マース・グローバル)はこのほど、MaaS事業を手掛けるブラジルのQuickoを買収したことを発表した。
ブラジルでは、所得水準の向上とともに自家用車の数が大きく増加しており、都市における交通渋滞やCO2(二酸化炭素)の排出量の増加が社会課題となっている。
両社はそんなブラジルにおいて、都市部に住む人々に向けに、自家用車の代わりに積極的に使ってもらえるような移動サービスの実現・展開を目指す。
■MaaS Globalのグローバル展開
MaaS Globalは、「MaaS」(サービスとしてのモビリティ)の初期概念を生み出したパイオニアとして知られ、フォンランドで2015年に創業後、2016年に首都ヘルシンキの都市交通にMaaSサービス「Whim(ウィム)」を実装したことで知られる。
現在はスイスやベルギーなどの欧州各国のほか、日本でも三井不動産と手を組み、事業を展開している。最近ではフランス企業と提携し、フランス版Whimを立ち上げることも発表している。
そんなMaaS GlobalがブラジルのQuickoを買収したことで、同社は今後、ブラジルさらには南米において、MaaS事業の展開を強化していくとみられる。
ちなみにMaaS Globalが買収したQuickoは2018年設立の企業で、公共交通機関と民間企業の移動サービスを組み合わせたサービスを展開している。展開エリアはブラジルにおける8つの都市圏と100以上の街とされており、50万人以上のユーザーを持つという。
■提携・買収スタイルで世界展開加速?
MaaSのサービスを各国・各都市でゼロから構築するためには、各国・各都市でさまざまな交通機関を巻き込む必要があり、簡単ではない。しかし、すでに現地でMaaSサービスを展開している企業と提携もしくはその企業を買収すれば、少なくともゼロからのスタートではなくなる。
MaaSのフロンティアであるMaaS Globalが、今後も提携・買収スタイルで世界展開を加速させていく可能性は、十分にありそうだ。
▼MaaS Global公式サイト
https://whimapp.com/maas-global/
【参考】関連記事としては「MaaS解説(2022年最新版)」も参照。