自動運転向けに開発された「高精度3次元地図」と、高精度な自己位置推定が可能な「RTK(リアルタイムキネマティック)測位」を組み合わせると、除雪作業の安全性向上に貢献できるようだ。
この取り組みを行っているのが、ダイナミックマップ基盤(DMP)などだ。同社はこの2つを組み合わせた「除雪支援システム」の実証実験の2022年1月17日からの実施について、このほど発表している。実証は長野県飯山市で東京海上日動火災保険とともに行うものだ。
■完全自動運転の除雪車の導入はまだ難しいが……
現在、除雪作業は除雪オペレーターの知見や経験に頼っており、人材の高齢化やノウハウの伝達が課題となっている。しかし、現段階では完全自動運転の除雪車の導入は難しい。そこでDMPは除雪支援システムを開発し、実証実験に乗り出した。
高精度3次元地図を使えば、雪で見えなくなってしまった道路上の車線や周辺の構造物を「見える化」でき、さらにRTK測位による位置情報を高精度3次元地図データに結びつけることで、除雪作業中の事故を回避することができるという。
■用途が広がる高精度3次元地図データ
ダイナミックマップ基盤は、自動運転向けの高精度3次元地図データの整備を目的に、国内自動車メーカー10社のほか、地図情報や位置情報を扱う企業などが共同出資し、2016年に設立された。
同社の地図データは、日産の自動運転レベル2の「プロパイロット2.0」や、ホンダの自動運転レベル3の「Honda SENSING Elite」で採用されているが、すでに防災や減災、インフラ維持管理の用途でも高精度3次元地図データが活用されているという。
そして今回、データの利活用の幅がさらに広がった。同社の今後の事業展開に引き続き注目だ。
【参考】関連記事としては「ダイナミックマップとは?自動運転の基盤となる地図、トヨタやゼンリンの動きは?」も参照。