大成建設株式会社(本社:東京都新宿区/代表取締役社長:相川善郎)は2021年6月20日までに、GPS(全地球測位システム)などの位置情報が届かないトンネル坑内において、無人建設機械(クローラーダンプ)の自動運転を国内で初めて実現したと発表した。
国内初の取り組みの舞台となったのは、国土技術政策総合研究所に設置されたトンネル実験施設や実際のトンネルの建設現場だという。
■坑内でどのようにして自動運転を実現?
自動運転では通常、GPSを使って自己位置推定を行うが、それができない坑内でどのようにして自動運転を実現したのだろうか。報道発表によれば、独自の位置情報取得技術「T-iDraw Map」を開発・導入したことで、自己位置を随時取得できるようになったという。
T-iDraw Mapは、建設機械周辺の「環境地図作成」と「自己位置推定」を3次元で同時に行うSLAM技術を活用したものだ。得られたデータをもとに事前に設定したルートを自動走行できる。
【参考】関連記事としては「SLAMとは?位置特定と自動運転地図の作成を同時に」も参照。
さらに走行ルート上に想定外の障害物が出現しても、センシング装置により障害物を感知し、自動で回避ルートを作成して減速して走行できるという。そのため施工現場の周辺環境変化に的確に対応した自動運転が実現できる。
今後、現在施行中のトンネル現場にT-iDraw Mapを投入し、実用性の高いタイヤ式建設機械への適用も進めていくという。将来的には地下における自動運転の実現なども目指す。
■高齢化や労働力不足の課題緩和に貢献
日本では現在、建設現場でも高齢化や労働力不足が課題となっている。労働力不足を解消し、生産性を向上するために、建設機械の自動運転に対する業界の期待感は高い。
そんな中で今回発表された「T-iDraw Map」。GPSが届かない場所でも建設機械の自動運転が可能となったことは、業界では大きな話題となりそうだ。
【参考】関連記事としては「いま自動運転ダンプが熱い!大成建設が実用化に目途、業界で開発競争」も参照。