愛知県は2021年6月10日までに、2021年度における自動運転の実証実験の計画を発表した。愛知県は2016年から全国に先駆けて実証実験を実施しており、2021年度の実証実験では、全国初となる都市部での長期実証も行うという。
■都市部でハンドルやペダル類がないARMAを運行
実証実験は「常滑市」「長久手市」「名古屋市」の3地域で行われる。特に注目すべきは、名古屋市内での実証実験で、JR鶴舞駅近くの幹線道路を含むルートにおいて約3カ月にわたり、一般車両との混在交通において自動運転を行うという内容だ。
これまで愛知県は施設内の閉鎖空間や都市部以外の公道で実証実験を行っており、その実証実験で積み重ねてきたデータを活用し、都市部での実験に踏み切る形だ。運行する車両は自動運転シャトル「NAVYA ARMA」で、ハンドルやアクセル、ブレーキペダルがない。
その他の2地域での実証実験についてだが、常滑市では2020年度に続き中部国際空港島内において、公道と空港制限エリアの同時運行・管理に挑む。
長久手市のモリコロパークでは、リニモ駅から園内へ自動運転車で送客を行うという。実証車両はこれまでに使用してきた小型バス車両やタクシー型車両のほか、今回からは自動運転OS(基本ソフト)「Autoware」で走行するカートが加わる。
■高まりつつある県民の自動運転への理解度
愛知県は2015年、全域が自動運転における国家戦略特区に区域指定され、2016年から自動運転の実証実験が始まった。これまでに山間地での自動運転や遠隔型の無人運転、5Gを活用した複数車両の同時走行などを実施し、着実に実用化に向けてステップアップしている。
県内企業や大学の取り組みも盛んだ。2019年には名古屋鉄道が、県内初の自動運転バスの公道実証を行った。Autowareを開発する名古屋大学発スタートアップのティアフォーも、走行試験を支援し続けている。
このように県内での取り組みが盛んになれば、県民の自動運転に対する理解度も深まっていく。いずれ愛知県で本格的な自動運転バスや自動運転タクシーが導入される際、こうした社会受容性の高さはプラスに作用しそうだ。
【参考】関連記事としては「無人飛行ロボット、愛知県が「無人地域での目視外飛行」に挑戦!」も参照。