「死角」に商機!トーヨーケムの行動検知技術、自動運転バスで導入

実証実験でBOLDLYの運行管理システムと連携



設置環境の明るさや光学式特有の死角の影響を受けずに人の行動を検知できる、非光学式行動検知システム——。こうした技術を自動運転バスなどへの搭載を想定して開発しているのが、東洋インキグループのトーヨーケムだ。


自動運転バスが将来セーフティドライバーなしで運行されることを考えると、こうしたカメラの死角においても人の動きを検知できる仕組みは、非常に有用だ。一体どのようなシステムなのだろうか。

2021年2月9日に神奈川県横浜市内で始まる自動運転バスの実証実験で、このシステムが導入されるようなので、トーヨーケムのプレスリリースからシステムの概要を紐解いていきたい。

■座席や床に設置して乗客の着座状況や動きを検知

実証実験で導入されるのは「Fichvita(フィッチヴィータ)」というセンシングシステムで、これがまさに死角の心配を無くす行動検知システムのようだ。

このセンシングシステムはバスの座席や床に設置され、座席に設置すると乗客の着座状況が、床に設置するとその上を人が歩くことで、歩幅や歩行速度、歩行方向、通行人数、転倒状態などを検出できるという。


カメラでこうした乗客の動きを把握しようとした場合、バス内の明るさやカメラの設置角度などの状況によって、把握できないケースも出てくる。こうした事態を防ぐのがトーヨーケムのシステムだ。

カメラを使わないことは乗客のプライバシーへの配慮にもつながる。Fichvitaによるセンシングデータには乗客の顔などの個人情報などが含まれていないためだ。

■「死角」という課題が「商機」になる

今回の実証実験では、ソフトバンク子会社のBOLDLYが提供する自動運転車両運行プラットフォーム「Dispatcher」と連携してFichvitaが活用されるようだ。これにより、Fichvitaのセンシングデータをリアルタイムで管制センターのオペレーターが把握できるという。

ちなみにFichvitaは2019年11月、神奈川県の複合レジャー施設で実施された自動運転バスの実証実験でも採用されている。


自動運転バスの実用化にはさまざまな課題があるが、「死角」という課題に挑戦しているのがFichvitaだ。そして課題を解決できればそれは「商機」になる。トーヨーケムがこの領域で存在感を高めていけるか、注目だ。


関連記事