カメラ大手のキヤノン(本社:東京都大田区/代表取締役会長兼社長:御手洗冨士夫)は2020年6月30日までに、「SPAD」(Single Photon Avalanche Diode)という信号増倍画素構造を持つセンサーにおいて、世界初の100万画素の撮像が可能なイメージセンサーを開発したことを発表した。
SPADイメージセンサーは、極めて短い時間内に起こる高速な現象など特殊な静止画・動画を撮影する2次元カメラとしての応用に加え、被写体までの距離情報を画像として取得する3次元カメラへの活用が期待される。
自動運転でも車間距離測定などでの活用が見込まれ、高性能な「目」として注目を集めそうだ。
■キヤノンは自動運転にどう取り組んでいるか
キヤノンが今回発表した100万画素SPADイメージセンサーは、前述の通り、自動運転での用途も視野にいれたものだ。キヤノンの自動運転領域での取り組みは今回が初めてではなく、これまでも積極的に同領域にチャレンジしている。
例えばグループ会社のキヤノンITソリューションズは2016年1月、欧州で業界標準に成りつつある車載ソフトウェアプラットフォーム「AUTOSAR(オートザー)」の仕様に準拠した日本製プラットフォームを開発するプロジェクトを、名古屋大学発のベンチャー企業APTJとともにスタートさせている。
キヤノンは2019年4月には、パイオニアと3D-LiDAR(ライダー)の共同開発契約を結んでいる。パイオニアのLiDAR製品においてキヤノンの光学技術を生かし、小型で高性能な製品を2020年中に市場投入するとされている。
■ニコンやソニーも自動運転領域での取り組み加速
同じく日本のカメラ大手のニコンやソニーも自動運転領域での取り組みを加速させている。
ニコンは2019年4月にLiDARを開発・製造する米ベロダイン・ライダー(Velodyne Lidar)と受託生産契約を締結している。ニコンはVelodyne Lidarに対し、2018年12月に約27億5000万円を出資していることでも知られる。
ソニーは2020年1月に開催された世界最大のエレクトロニクス技術見本市「CES2020」に出展し、自動運転車の試作車「VISION-S Prototype」を披露した。自社のセンシング技術やAI(人工知能)技術などを今後も自動車業界でしっかりとアピールしていきたい考えだ。
カメラ大手の中で同領域で特に存在感を高めていくのはどの企業なのか、関心が高まる。各社を巻き込んで競争が激化することにより技術が大きく進化することにも期待だ。
【参考】関連記事としては「パイオニアとキヤノン、3D-LiDARの共同開発契約 高度な自動運転に対応」も参照。