自動車部品大手の株式会社小糸製作所(本社:東京都港区/取締役社長:三原弘志)は2019年6月30日までに、先進運転支援システム(ADAS)システムの開発を手掛けるイスラエルのベンチャー企業BrightWay Vision(BWV)社の株式を取得し、持分法適用会社としたことを発表した。
BWV社は主に前方監視運転支援システムを開発している。同社のシステムの強みは、夜間や悪天候時も影響を受けにくく、単眼カメラでも距離測定が可能な点などだ。小糸製作所はBWV社の技術と自動車の照明技術を組みあわせ、自動運転車向け製品の開発を加速させるのが狙いとみられる。
■BWV社の技術の強みとは?
現在開発が進んでいる自動運転システムでは、車両周囲の歩行者や障害物検知のために可視光カメラ、ミリ波レーダー、LiDARなどの周辺認識センサーを搭載することが一般的だ。ミリ波レーダーやLiDARは対象物との距離測定に用いられ、特にLiDARは「自動運転車の目」と言われているほど重要なセンサーの一つだ。
【参考】関連記事としては「【最新版】自動運転の最重要コアセンサーまとめ LiDAR、ミリ波レーダ、カメラ」も参照。
ただ一般的な可視光カメラは暗所撮影に弱く、雨などの天候の影響も受けやすいうえ、単眼システムだと正確な距離を測定できないという課題がある。ミリ波レーダーやLiDARは対象物の距離測定精度に優れるが単体での物体認識は難しく、可視光カメラとの連携が必要となる。
BWV社の前方監視運転支援システムはこれらのセンサーが持つ課題を解決する性能を持っているようだ。「ゲーテッドイメージング」という技術で、車両前方の複数の距離で画像撮影し、合成処理することで画像の情報を解析する。それぞれの距離にピントがあった画像を組み合わせることで、全体的な認識が可能な一枚の画像になるイメージだ。
この技術は夜間撮影に強く、雨や霧などの影響も受けにくいのが特徴だという。さらに、単眼カメラでも距離測定が可能になるといったメリットもあるという。
【参考】関連記事としては「小糸製作所、独Blickfeld社とヘッドランプ内蔵型の小型LiDARを共同検討」も参照。