国立大学法人群馬大学(学長:平塚浩士)と特殊車両の製造などを手掛ける株式会社ケイエムオー(本社:群馬県伊勢崎市/代表取締役:神尾将光)は2018年6月1日、共同開発した自動運転バスが完成したことを発表した。今後、公道実証実験に取り組み、必要な技術やサービスの開発などを行っていくこととしており、将来的には「地域の足」としての活用に期待が持たれる。
同大学は2016年10月に群馬県東部の桐生市で自動運転の公道実証試験を開始したことを皮切りに、同年12月には次世代モビリティ社会実装研究センターを開設。前橋市や桐生市、関連企業と連携しながら、自動運転車両の実証実験や共同開発・研究などに取り組んできた。群馬を社会実証拠点とする完全自律型自動運転車の事業化の実現を目指している。
ケイエムオー社はバスの二次架装や特殊車両の製造などを行っており、今回の共同開発は2017年8月にスタートした。これまで培ってきたバス車両に関する知識や技術、ノウハウと同大学の知識を融合することで自動運転バスの車両製作にこぎつけた。
【参考】群馬大学の今回の発表の詳しい内容については「プレスリリース」も参照。
■自動運転レベル2での運用想定
開発した車両は自動運転レベル2(部分運転自動化)での運用を想定している。市販バス車両を自動運転に対応させるため、ブレーキやハンドルをコンピューターで操作できるよう制御用モーターを取り付けており、ドライバーがブレーキやハンドル操作を行うと直ちに手動に切り替わるシステムを採用した。
【参考】自動運転レベルの定義については「自動運転レベル0〜5まで、6段階の技術到達度をまとめて解説|自動運転ラボ 」を参照。
車両のフロントやサイド、リア部分には障害物を認識するレーザーセンサーを取り付け、上部には全方位カメラや位置測定を行うGNSS(測位衛星システム)受信機を設置している。
同大はこれまで自家用車での移動が中心だった地方市街において、自家用車を運転できる人や公共交通機関の弱体化などで地域の足が減りつつあると指摘。今回の自動運転バス車両を用いた公道実証実験を経て、バス事業に完全自動運転を適用するための必要な技術やサービスの開発、受容性の評価を行うこととしている。
【参考】大学に関連する自動運転業界の動向については「名古屋大界隈、AIや自動運転で日本最強説 スタートアップ続々|自動運転ラボ」も参照。