スウェーデンのボルボ・カーズは2020年5月12日までに、LiDAR開発ベンチャーの米Luminar(ルミナー)社と提携し、業界をリードするルミナーのLiDARと検知技術を次世代型のボルボ車に導入していくと発表した。
ボルボ・カーズの次世代型プラットフォームにルミナーのLiDARが搭載可能な形となるようだ。報道発表では、この次世代型プラットフォームについて、「2022年の生産開始時から自動運転に対応可能なハードウェアとして提供される予定」と説明されている。
こうしたことにより、ボルボ・カーズにとっては初めて高速道路上での完全自動運転技術が実現することとなるようだ。
■ルミナーの事業拡大の大きな足掛かりに
ルミナーはオースティン・ラッセル氏が2012年に大学を中退して設立したベンチャーで、2017年には3600万ドル(約40億円)の大規模な資金調達に成功している。低価格なLiDARの開発に力を入れ、生産コストを数百ドルほどにまで下げる研究をしてきた。
今回の提携はルミナーの事業拡大の大きな足掛かりとなる。ルミナーはボルボ・カーズとの提携で初めてLiDARを量産化することとなるからだ。売り先の確保によって収益をしっかりと確保することができれば、さらなる研究開発に向けた費用も確保しやすくなる。
ルミナーについてはトヨタ自動車もその技術力を評価し、同社のLiDARの採用を決めていることが過去に明らかになっている。創業からわずか8年でここまで世界的に評価が高まった企業は自動車業界では決して多くない。
【参考】関連記事としては「トヨタも愛した23歳の神童CEOの正体 自動運転の目「LiDAR」と米ルミナー」も参照。
トヨタも愛した23歳の神童CEOの正体 自動運転の目「LiDAR」と米ルミナー https://t.co/uVud5VXL0U @jidountenlabさんから
— 自動運転ラボ (@jidountenlab) June 9, 2018
■売り先の確保が将来のシェア拡大に重要
LiDARは有望市場だ。富士キメラ総研の2019年9月の発表によれば、LiDARの市場規模は2019年には18万台(見込みベース)だが、2040年には4236万台まで飛躍的に拡大するという。自動運転レベル3〜5のシステム普及とともに大きく市場が膨らむ形だ。
一方で有望市場だからこそ競合も多い。先日、仏イージーマイルとの契約を交わしたと発表した米ベロダイン・ライダーやベロダインの元エンジニアが立ち上げたスタートアップのセプトン・テクノロジーズ、ドイツのコンチネンタルAGなどライバルは少なくない。
どんなに技術を磨いても売り先がなければ収益化やシェア拡大は難しい。そういう意味でも、今回のルミナーにとってのボルボ・カーズとの契約は、注目すべきなのだ。
ルミナーにとっては、いかに有望な売り先を確保できるかが将来的なシェア拡大に向けて重要なカギとなる。
【参考】関連記事としては「有力企業が契約!LiDAR開発の米Velodyneと自動運転シャトルの仏Easy Mile」も参照。