2018年9月に名古屋市を皮切りにタクシー配車アプリの事業化を本格化させた米配車サービス大手の「Uber Technologies(ウーバー・テクノロジーズ)」。2019年1月には大阪・仙台・福島・青森と順次サービスエリアを拡大する。
この勢いはまだまだ続きそうで、近い将来、自分が暮らすまちでもウーバーの配車アプリを使用する機会が訪れるかもしれない。
来たるべきに日に向け、今回はウーバーアプリの使い方や評判を紹介し、同社の今後の展望にも近づいてみよう。
記事の目次
■アプリのダウンロード方法は?
スマートフォンから「Google Play」や「App Store」を開き、「Uber」を検索すると「Uber」や「Uber Eats(飲食デリバリー)」、「Uber Driver(ドライバー向けアプリ)」などが検索結果に表示される。タクシー配車アプリはこの中の「Uber」で、これをクリックしインストールする。もちろん無料だ。
初期設定では、①携帯電話番号を入力する②メッセージで送られてくる4桁のコードを入力③メールアドレスを入力④アカウントのパスワードを設定する⑤名前を入力する⑥規約・個人情報保護方針に同意する⑦支払い方法を設定する(スキップ可能)―といった工程が必要となる。これを完了すれば準備OKだ。
■アプリの使い方は?
アプリを起動すると現在地周辺のマップが表示される。合わせて行き先を入力する画面が表示されるので、住所や施設名を入力するか、マップ上にピンを指して指定する。すると、地図上に走行経路や予想支払額、ハイヤー・ブラックVANなどの種別が表示されるので、「タクシーを依頼する」「ハイヤーを依頼する」などをクリックすると、配車予約が完了する。
予約が無事完了すると、配車された車両のドライバーや到着するまでの予定時間、車種、ナンバーなどが通知されるので、現在地で待機しよう。なお、予約直後に流しのタクシーが見つかった場合などキャンセルしたい場合は、5分以内であれば無料で予約を取り消すことができる。また、GPSの精度により、ピックアップ位置が若干ずれることもあるようなので、注意が必要だ。
乗車後は、予定経路やドライバーが選択した経路で走行してくれるが、それ以外のルートも希望すれば基本的に変更してくれる。この辺りは通常のタクシーと同様だ。料金の支払いは、アプリで設定したクレジットカード決済のため、到着後は一切の手続きもなく降車するだけとなる。なお、現金支払いなどには対応していない。
また、乗車したドライバーを評価することができる。同様にドライバーから利用者も評価されるが、こうした評価システムをフィードバックすることで、より質の高いサービスや安全運行が可能となるため、積極的に利用しよう。
その他、無料乗車可能なプロモーションコード・キャンペーンコードなどが配布されている場合もあるので、随時チェックすることをお勧めする。
なお、利用可能な地域については、基本的に提携を結んでいるタクシー会社の営業範囲に依存することとなり、2019年1月時点で名古屋、淡路島、大阪、仙台、福島、青森の6地域で正式な利用が可能となる見込みだ。
■評判:「ドライバーの対応が丁寧!」「支払いが手間いらず!」
非常に多岐に及ぶ評判がインターネット上で散見されており、「予約後すぐに到着し、行き先の説明や支払いの手間がいらず非常に便利」「プロモーションコードで格安で移動することができた」「ドライバーの対応が丁寧だった」など高評価が寄せられている一方、「通常のタクシー料金に比べて割高」「プロモーションコードの利用でトラブルが起こった」など、料金に関連する低評価も少なくないようだ。タクシーの通常料金に迎車費用が加算されるケースが多く、割高に感じるユーザーは思いのほか多いのかもしれない。
また、海外でウーバーを利用したことがある旅行者などは、自国言語のアプリで画一的に多くの国で使用できる利便性を評価しているようだ。訪日外国人観光客数が伸びを見せる近年、海外から訪れた旅行者にとっては親しみやすいサービスで、口頭で目的地を告げる必要や現金で料金を支払う必要がないのは大きなメリットと言えそうだ。
日本人の視点では、公式ホームページを含めグローバル仕様のアプリの使い勝手に慣れないケースもありそうだ。良くも悪くもシンプルで、日本特有の繊細さ・丁寧さがあまり感じられない仕様となっている。
なお、Google Play、App StoreにおけるUberアプリの評価は、ともに5点満点中4.2点となっている。
■ウーバーの日本展開や最新ニュース
日本法人は2012年設立、2014年に東京でタクシー配車事業開始
ウーバーは日本法人を2012年に設立し、2014年から東京都内でタクシー配車サービスを開始している。2015年2月には実験的に福岡県でライドシェア事業を開始したが、白タク行為とみなされ国土交通省からストップの声がかけられた。本業であるライドシェア事業を展開するという目論みは、早くも挫折を余儀なくされた格好だ。
その後、2016年に料理をデリバリーする「UberEATS」を開始。こちらはタクシー配車などを先行する形で全国にサービス提供エリアを拡大中だ。
試行錯誤を繰り返しながら、2018年7月に兵庫県淡路島で「配車アプリ」の導入に向けた実証実験を開始し、配車アプリ事業への注力を本格化させ、同年9月にフジタクシーグループとの提携のもと愛知県名古屋市で正式に配車アプリ事業をスタートした。
【参考】Uberの名古屋進出については「名古屋で「ウーバータクシー」スタート 日本での独自サービス アプリ活用、クレジットカード決済」も参照。
名古屋、そして大阪や東北でも事業スタートへ
2019年1月には、未来都との協業により大阪市で事業をスタート。また仙台中央タクシー、西条タクシー、成長タクシーともパートナーシップを結び、仙台・福島・青森の各市でも事業をスタートさせる運びとなっている。
これにより、公式アナウンスでは実証実験中の淡路島を含め6都市でサービスを展開することになったとしているが、東京都・神奈川県の一部でも同社の配車アプリは使用可能のようだ。
今後も大都市や地方の中核都市を中心にエリア拡大を図っていく方針とみられ、提携タクシー事業者の目途がつき次第全国に手広く事業を拡大していくものと思われる。
【参考】Uberのサービスエリア拡大については「ウーバータクシー、2019年1月から仙台・福島・青森で展開 地場系事業者と提携」も参照。
ソフトバンクやトヨタが積極投資
また、ウーバーに対しては、ソフトバンクグループが2017年に80億ドル(約9600億円)を出資して筆頭株主になっているほか、トヨタ自動車も2018年に自動運転技術を活用したライドシェアサービスの開発促進や市場への投入を目的にウーバーとの協業拡大を発表し、5億ドル(約560億円)を出資することが報じられている。
ソフトバンク・トヨタ自動車は、自動運転やMaaS(Mobility as a Service)系サービスの展開を見据えた新会社「MONET Technologies(モネ・テクノロジーズ)」の設立を発表しており、実証実験の舞台に名古屋市を選んだようだ。奇しくも、両社と協業を図るウーバーが正式に事業を開始した地も名古屋である。
MaaSを見据えるソフトバンク・トヨタにとって、すでに世界で移動サービスを実現しているライドシェア大手のウーバーは目的を合致させやすい最適な存在の一つだ。推測の域を出ないが、近い将来、この3社による協業の可能性も十分考えられるのではないだろうか。
【参考】Uberとトヨタの協業については「トヨタ、米ライドシェア大手ウーバーに560億円出資 モビリティサービス「Autono-MaaS」、ウーバー自動運転キット搭載へ」も参照。
■配車サービスシェア争い激化 IPOで体制強化し事業拡大へ
世界で最も利用されるタクシー配車アプリの一つであるウーバーが、日本で事業展開を拡大するのは必然であり、訪日外国人の利便性も考慮すればなおのことである。
今後は、同様に日本進出を果たした中国のDiDiや国内事業者とのシェア争いに注目が集まりそうで、パートナーを組むタクシー事業者の獲得競争やサービス競争の激化が予想される。
一方、うわさが飛び交う株式上場も2019年前半に行われる可能性が高く、ソフトバンク・トヨタ自動車との協業の行方も気になるところだ。
事業体制が強化されるだろう同社の2019年は、配車アプリ争奪戦にとどまらずさまざまな話題を振りまく一年になりそうだ。
【参考】関連記事としては「【最新版】タクシー配車アプリや挙まとめ 仕組みも解説」も参照。