わずか3500回再生…もっとバズるべきトヨタの自動駐車動画 センサーを活用したAI自動運転技術

駐車場事故を軽減、自動バレーパーキングにも期待



トヨタは去年2019年の12月19日、ある1本のYouTube動画を公開した。新型車ヤリスに搭載する高度駐車支援システム「Toyota Teammate[Advanced Park]」だ。そのYouTube動画が下記だ。3500回程度しか再生されていないが、もっと注目されるべきだと思う。


このAdvanced Parkという機能では、カメラと超音波センサーを使い、ボタンを押すだけで自動駐車を可能にする。ギアの操作やブレーキ操作は一部で必要になるものの、動画を観るとハンドルが自動でくるくる回っているのが分かる。

カメラで駐車場所の位置を認識し、超音波センサーで人や障害物などの有無を確認する形だ。並列駐車も縦列駐車もこなすことができ、白線のない駐車場所でも事前に駐車場所を登録することで設定した位置に駐車をすることが可能となっている。

■駐車場の事故、「発見の遅れ」が87%

自動運転で駐車を行えるこの技術は、運転手の手間を減らすことに貢献することはもちろんだが、駐車場における事故を減らすことにつながることにも注目したい。

公益財団法人の東京都道路整備保全公社などがまとめた「駐車場の交通事故減少に向けた安全性向上のための施設運用に関する研究」(2018年3月)によると、駐車場における「人対車両」の事故のうち、主な人的要因としては「発見の遅れ」が87%を占めている。こうした事故を自動駐車システムは低減させる。


自動車はそもそも前に進むことに重きを置いて車両が設計されている。そのため、どうしてもバック(背面通行)時は注意が行き届かなくなりやすい。こうした自動車の欠点をセンサー付きの自動駐車システムが補ってくれると考えても差し支えないはずだ。

【参考】「駐車場の交通事故減少に向けた安全性向上のための施設運用に関する研究」に関しては「https://www.tmpc.or.jp/Portals/0/images/03_business/business/index_01/h30_2_g.pdf」のリンクから閲覧が可能だ。

自動バレーパーキングにも着目

駐車場における自動運転技術の導入ケースとしては、今回のトヨタのような車両に対するシステムの搭載のほか、「自動バレーパーキング」というものもある。

この自動バレーパーキングとは駐車場全体を技術の導入対象としたもので、駐車場の入り口から駐車場所までの移動を全て車両の自動運転技術や駐車場の管制システムによって完了させてしまおうというものだ。この領域ではドイツ自動車部品大手のボッシュがリードしている。


この自動バレーパーキングが実用化されれば、そもそも駐車場の中に人が入る必要がなくなる。駐車場の入り口でクルマから降りるからだ。そうすれば駐車場の事故は一層減る。導入によって社会が得られるメリットは大きいと言える。

2020年は公道での自動運転技術のほか、トヨタのヤリスに搭載されるAdvanced Parkのような駐車場における技術革新が一層進むことを期待したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事