自動運転車では一般的に、カメラで信号の色を認識してAI(人工知能)が適切な判断を行う手法が取り入れられている。しかし、自然災害などによって信号にトラブルが起きた場合、自動運転車は安全に走行できるのだろうか。
こうした懸念を無くすべく、信号が車から見えなかったり、動作しなかったりといった場合においても、適切に自動運転車が走行できるような仕組みが、さまざまな形で実験されている。
■ソフトバンクやDeNAなどが実証実験
2020年3月25日、福岡県北九州市において、Wireless City Planningと日本信号、ソフトバンクにより、遠隔運転車両へ交差点からの危険情報を5Gを活用して提供する実証実験が行われた。
災害発生時を想定し、交差点での危険な状況をAI処理において認知し、遠隔操作可能な車両へ情報提供するというものだ。
この実験はあくまで遠隔運転を想定したものだが、「高速」「大容量」「超低遅延」の5G通信でこれらの危険情報などがやりとりされれば、高いリアルタイム性が求められる自動運転においても安全走行が可能になる。
2019年3月にDeNAと日本信号が愛知県で行った実証実験においては、信号機と自動運転車両が無線通信で直接情報を受けとるという取り組みが行われた。
これは信号機の視覚情報に頼らない取り組みであり、障害物で信号機が見えなくなったり、点灯箇所が壊れた時にも有効な対策となるであろう。
【参考】関連記事としては「DeNA、自動運転車両に信号の色などの情報を直接送信 日本信号などと実証実験」も参照。
■車と車が通信することで解決も!?
2019年9月の台風15号では千葉県で大規模停電が起こり、多くの信号機が使えなくなったことは記憶に新しい。また、交通事故の約半数は交差点で起こっており、自動運転の時代においても交差点の安全は重要課題だ。
ちなみに米カーネギーメロン大学では、車と車が通信することで「このタイミングで通行できる」といった信号をやり取りし、従来の信号機が無くても交差点などを安全通行ができる仕組みなどが試みられている。
こうした仕組みを使えば、停電などで信号機が使えない場合でも安全を保てるはずだ。このように、どんな状況においても自動運転車が交差点を安全通行できるようにする方法は、さまざまな角度から検討されているのだ。
【参考】関連記事としては「「交差点」を制覇するものが自動運転を制す?AI認識の最前線」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)