富山県朝日町は2021年10月から、ライドシェアサービス「ノッカルあさひまち」の本格運行を開始した。住民の足を確保するための新たな取り組みだ。実証実験の段階で利用者は約800人となり、リピーターも増えていることから本格運行に至ったという。
■役場職員に加え、住民ドライバーも活躍!
「ノッカルあさひまち」は、ご近所さんの自家用車でのお出かけに、ついでに「乗っかる」ことができるサービスだ。サービス展開には広告代理店大手の博報堂と自動車メーカーのスズキが協力している。
2020年8月に実証実験を始めた当初は役場職員が運転していたが、同年10月からは自家用車を保有する地域住民からドライバーを募り、同じ町内の住民を送迎する形へサービスを移行した。現在は役場職員と住民ドライバー7人が運転手をこなしている。
ノッカルあさひまちは、町内の各地区から病院やスーパー、役場など町中心部への移動に利用できる。利用するには会員登録が必要で、ウェブまたは電話で受け付けている。乗車には前日午後5時までの予約が必要だ。
乗車の際は会員証と11枚つづり2,000円の「あさひまちバス回数券」が必要で、町役場や郵便局院などの販売所で事前に購入しておく必要がある。利用料金は1人で利用する場合は回数券3枚、2人または乗り合いの場合は回数券2枚だという。
■ライドシェア、日本は「蚊帳の外」状態
ちなみに、日本では自家用車を使って有料の運送サービスを行うことは「道路運送法第78条」で制限されており、Uberのような有償ライドシェアは事実上、解禁されていない。
一方、公共性が高い場合は、あらかじめ定められた制限区域内でサービスを展開することが可能だ。今回の富山県朝日町のライドシェアサービスも、こうしたケースに該当する。
日本政府からは今のところ、ライドシェアを全面的に解禁するような動きはみられず、少なくとも今後しばらくは現在の状況が続くとみられる。海外ではライドシェア市場が拡大しているのに、日本は「蚊帳の外」状態であることは、覚えておきたい。
【参考】関連記事としては「ライドシェアとは?日本で解禁される可能性は?」も参照。