自動運転タクシーの商用サービスや実証実験が盛んに行われるようになってきている。そんな自動運転タクシーのサービス事業者と有料駐車場ビジネスの展開企業は、将来、ビジネスパートナーとしてピッタリかもしれない。
自動運転タクシーのサービス事業者が駐車場の空き情報を知ることができれば、乗車リクエストがないときは近くの空き駐車場で待機することができる。駐車場ビジネスの展開企業も空いたスペースで効率的に売上を得られ、Win-Winの関係になるのではないか。
もしこうしたタッグが成立するのであれば、自動運転タクシーの開発に積極的な日産自動車と駐車場大手のパーク24が、トヨタ自動車と駐車場準大手の日本駐車場開発が、こうしたビジネスで提携することもあり得そうだ。
すでに日産は同社のEV(電気自動車)をパーク24のカーシェアリングに大規模に導入しており、企業としての関係が構築できている。また、トヨタは駐車場大手の日本駐車場開発の株主だ。こうしたことを考えると、こうした新たなタッグは少なからず考えられそうだ。
自動運転がさらに進む現在において、ますます駐車場の活用は増え、車と駐車場をどうシナジーさせるかが重要になってくるに違いない。
■「自動運転」の裾野マーケットはとてつもなく広い
何が言いたいかというと、自動運転は将来有望な市場として知られているが、この市場をビジネス的に俯瞰するときに重要なことは、自動運転の裾野のマーケットはとてつもなく広いという視点を持つことだ。
先ほど紹介した「自動運転×駐車場」はその例の1つに過ぎず、「自動運転×小売店」「自動運転×店舗」「自動運転×人材サービス」というように、いまさまざまな視点からこの有望市場に食い込もうという動きが加速している。
例えば「自動運転×小売店」で言えば、自動運転車を活用した配送サービスが考えられる。
「自動運転×店舗」で言えば、移動式のアパレル店などが考えられる。つい先日、トヨタが自動運転EV「e-Palette」の活用構想でこうした事例を紹介したばかりだ。
【参考】関連記事としては「トヨタ自動運転車e-Palette、移動式の店舗や宅配ロッカー構想!」も参照。
「自動運転×人材サービス」でも、ユニークな取り組みがスタートしている。転職サイトを運営するパーソルキャリアとMONET Technologiesによる取り組みで、運転手がいない自動運転車の中で転職活動や企業面談が可能なサービスを将来展開しようとしている。
【参考】関連記事としては「将来は自動運転車で通勤中に転職活動&ウェブ面接!「パーソナル空間」に着目した実証実験」も参照。
■将来的にマーケットで優位に立つために
自動運転と一見関係ないと思われる業種でも、将来、このように自動運転と絡めたサービスを展開することができてくる。
いまはまだどのサービスも商用化されているわけではないが、先にこうしたサービスに目をつけて実証に取り組んだ企業が、将来的に市場で優位に立てる可能性が出てくるのだ。
【参考】関連記事としては「自動運転時代、都心の有料駐車場は不要になる?無人走行させ続けた方が安い?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)