近年、堅調に業績を伸ばすマツダ株式会社。スカイアクティブ・テクノロジーといった独自技術によってブランド化を図りながら、次世代に向けた技術革新を進めている。
今後、自動運転技術とともに次世代自動車業界の柱となるコネクテッドカーの分野においては、どのようにブランド化を進めていくのか。2019年中に大きく生まれ変わる予定の同社のコネクテッドサービスについて調べてみた。
記事の目次
■マツダの現在のコネクテッド機能
「MAZDA CONNECT(マツダコネクト)」は、コネクティビィティシステムを搭載した同社のナビゲーションシステムだ。2013年発売の新型「アクセラ」から搭載が始まった。現在提供されているサービスは、一部「つながる」要素が含まれたナビ・ディスプレイシステムといった印象だが、2019年8月末ごろから、本格的なコネクテッドサービスが始まる予定となっている。
アプリケーション機能
ドライビングをサポートするさまざまな車両情報を確認できる。マツダ車の「走る歓び」と「優れた環境安全性能」を実感するドライビングサポートシステム「インテリジェント・ドライブ・マスター(i-DM)」は、乗員全員が車両との一体感を感じながらドライブを楽しめるようになる運転技量の習得や向上をサポートする。
アクセルやブレーキ、ハンドルといった運転操作の状態を診断し、ランプの色でドライバーに運転操作の状況を知らせるコーチング機能や、運転の評価をスコア表示する機能などがある。
このほか、警告灯の点灯・点滅時に、その詳細を確認することなどもできる。
エンターテイメント機能
スマートフォンや携帯電話とマツダコネクトをBluetoothで接続することで、より多くの機能を利用することが可能になる。
車内インフォテイメントとして、インターネットラジオやニュース、ポッドキャスト、天気予報など、世界4万局以上のウェブコンテンツを提供するクラウド・プラットフォーム「Aha」をはじめ、1万5000以上のニュースやコメディ、スポーツ、音楽などのストリーミング放送を聴くことができるスマートフォンアプリ「Stitcher」などを利用できる。
コミュニケーション機能
ハンズフリー通話やショートメッセージ機能など、クルマの中にいながら家族や友人とコミュニケーションを図ることができ、スマートフォンなどとBluetoothで接続することで、スマートフォンの連絡先のインポートやショートメッセージサービスの表示、読み上げ、定型文による返信、FacebookやTwitterといったソーシャルメディアのコンテンツなどを楽しむことができる。
メンテナンス機能
車両のコンディションを良好に保つため、スケジュールどおりにオイル交換ができるようリマインダー設定ができるほか、定期点検通知なども行うことができる。
■これから始まる新コネクテッドサービス
同社の新しいコネクテッドサービスは、2019年8月末に開始予定だ。クルマとマツダがネットワークでつながり、24時間365日さまざまな場面でオーナーのカーライフをサポートするサービスを展開する。
対応車種は「MAZDA 3」で、サービスには車載通信機の搭載や申し込みが必要。車載通信機単体でも一部サービスは利用可能だが、スマートフォンから専用アプリをダウンロードすることでより充実した機能を利用することができる。
料金は明らかにされていないが、登録日から3年間は無料で利用できるようだ。コネクテッドサービスにより、道路の地図データやマツダコネクトのソフトウェアは、車載通信機経由で更新することができるようになる。
マツダエマージェンシーコール&マツダアドバイスコール
エアバッグ作動時や後突時、もしくはSOSボタンを押した際にオペレーターにつなぎ、ドライバーの代わりに救急、警察手配を行う。ドクターヘリなどを呼ぶ「D-Call Net」にも対応している。
ドライバーの要望に合わせてロードサービスの手配も行うほか、オペレーターが近隣の販売会社と連携し、車両受け入れや修理手配の調整も行ってくれる。
同様に、重大な故障が発生した際にも、オペレーターとつないで的確なアドバイスを受けられ、ロードサービスの手配など各種サポートを行ってくれるサービスもある。
安心安全機能:コンディションモニターやバーグラアラーム通知
MyMazdaアプリで、エンジンオイル量やエンジンオイル交換推奨時期、メンテナンス推奨時期など、メンテナンス部品の交換時期やパーツのコンディションなどを確認し、クルマの状態をいつでも把握することができる。
また、ドアやエンジンフード、リアゲート、トランクのこじ開けといった車両への不審な動きを感知し、作動要因とともにMyMAZDAアプリへ通知するバーグラアラーム機能も備わっている。
便利機能:リモートコントロールやカーファインダー機能など
ドアやトランクの閉め忘れ、ハザードランプを点灯したままクルマから離れた際などに通知するうっかり通知機能や、MyMazdaアプリで離れた場所からハザードランプの消灯やドアロックが可能なリモートコントロール機能、大きな平面駐車場などで自車位置を簡単に確認できるカーファインダー機能などが備わっている。
このほか、燃料残量やオドメーター(走行距離)、ドア・エンジンフード・リアゲート・トランク開閉状態、ドア施錠、ハザードランプ点灯状態などをいつでも確認できるリモートモニター機能や、スマートフォンで設定した目的地をクルマのナビに送信する機能などもある。
スマートフォン連動アプリケーション機能
使い慣れたスマートフォンの機能を、クルマのディスプレイで操作することができる。「Apple CarPlay」や「Android Auto」にも対応し、iPhoneやAndroidスマートフォンの電話やメッセージ、音楽などの操作を行うことができる。
■マツダのコネクテッド戦略
マツダが2018年10月に発表した電動化とコネクティビティの技術戦略によると、人間中心の開発哲学にもとづき、クルマを通じた体験や感動の共有によって人・社会をつなげ、いつまでも人間らしい心豊かな「生きる歓び」を実感できるコネクティビティ技術の開発を目指すこととし、トヨタ自動車とのアライアンスを最大限に活用していく方針を打ち出している。
2018年12月には、広島県三次市で広島県、三次市との連携のもと、コネクティビティ技術を活用した移動サービス実証実験を開始している。この実証実験で得られたデータを蓄積し、次世代コネクティビティ技術や自動運転技術と組み合わせたライドシェアサービスの開発などを進める構えだ。
【参考】マツダのコネクテッド戦略については「マツダ、コネクティビティ技術の戦略公表 トヨタとのアライアンス最大限活用」も参照。マツダの実証実験については「マツダ、自動運転技術でライドシェアサービス開発へ 広島県内で実証実験」も参照。
■【まとめ】2019年8月末からコネクテッドサービス本格展開
新サービスにより、トヨタや日産などと同等のコネクテッドサービスが提供される見込みで、今後発売される新車などに順次搭載が進んでいくものと思われる。
また、スバル同様トヨタとのアライアンスを重視しており、コネクテッドサービスの基盤となるプラットフォームの将来的な動向にも今から注目しておきたい。
【参考】関連記事としては「コネクテッドカー・つながるクルマとは? 意味や仕組みや定義は?」も参照。