先日、自動運転時代の免許制度について「運転免許に新たな種別「自動運転車限定」、いずれ来る未来?」というコラムを公開したが、この記事に対して多くの読者からコメントを頂いた。
その中で多かったのが、高齢者が運転するときでも安心の「安全運転支援機能」などが装備された自動車に限定した免許を作ってはどうか、というものだった。言うなれば「安全装置付き限定免許」「運転支援機能付き限定免許」といったところか。
近年、高齢者による事故が社会問題となっている。こうした中で高齢者の免許返納を推奨する動きがあるが、公共交通機関が脆弱な地方などにおいては、自動車が使えなければ移動が困難になってしまうという現状もある。
読者の方からコメントを頂いて考えてみたが、確かに安全運転支援機能が搭載された車のみ運転できるという免許区分があれば、免許返納前のワンクッションとなり、地方における交通の脆弱さと高齢者の交通事故の問題の両方を緩和できる可能性を感じた。
■ADAS機能、日々進化
こうした免許を創設するとすれば、前提となるのが優れた安全運転支援機能が搭載されている自動車が既に市販されているということだ。
こうした機能は「ADAS(先進運転支援システム)」の一部として展開されており、すでにトヨタやホンダなど自動車メーカー各社が独自ブランドでシステムの機能向上に力を注いでいる。具体的には下記のような機能だ。
- クルーズコントロール
- 衝突被害軽減ブレーキ
- 車線逸脱防止支援システム
- 駐車支援システム
- ブラインドスポットモニター
- カーナビゲーション
- 車両間通信システム
- 道路標識認識システム
- 居眠り運転検知システム
各自動車メーカーが展開するADASは下記のような形だ(一部自動運転機能を含む)。
- トヨタ自動車:トヨタセーフティセンス
- 日産自動車:プロパイロット2.0
- ホンダ:ホンダセンシング
- SUBARU:アイサイト
- テスラ:オートパイロット
- GM:SuperCruise
- VW:IQ.DRIVE
- BMW:BMW Personal CoPilot
■道路交通行政のヒントに
今回取り上げたこうした安全機能つき車両に限定した免許は、仮に創設されたとしても自動運転時代までの過渡期に限定したものとなるだろうが、それでもいまの時代の交通事故の問題や移動の不便さに関する課題が緩和されることに役立つという意味では大きい。
新たな免許区分の創設には手間も時間も議論も必要となるが、こうしたアイデアは次世代の道路交通行政の政策策定においてヒントになるはずだ。
【参考】関連記事としては「【最新版】ADASとは? 読み方や定義、機能は? 自動運転との違いは?」も参照。