自動運転技術は物流業界と相性がいい。人口減少による慢性的なドライバー不足の緩和につながるからだ。中でも早期の実現に向けて取り組まれているのが「後続車無人システム」だ。どういったシステムなのだろう。
■「後続車無人システム」のメリット
後続車無人システムは、特に物流業界を支えるトラック運行などに用いられることが見込まれている。先頭車はドライバーによる運転が行われるが、後続車は無人運転という形だ。
「CACC」(車間距離制御装置)や車車間通信によって先頭車の加減速などの情報が後続車に伝えられ、先頭車からの指示で後続車の自動車線変更なども可能になる。先頭車両に追随するために、LiDARやステレオカメラ、GPS(全地球測位システム)なども活用される。
日本においては、トラック3台が時速70kmで車間距離約10mの車群を組んで走行するという公道実験が2019年1月22日〜2月28日にかけて新東名高速道路で実施されるなどし、話題となった。
今後も後続車無人システムの実現に向け、高速道路などでさまざまな実証実験が実施されていく見込みだ。
■後続車無人システムは物流業界の救世主に!?
後続車無人システムが人手不足の解消にもつながる点については前述の通りだが、輸送効率が高まることでトラック運転手の長時間労働の緩和にもつながることが期待されている。
Amazonや楽天などのEC(電子商取引)サービスの利用者が増え、配送需要は近年右肩上がりの状況だ。新型コロナウイルス問題によってECの便利さがさらに広く認知されるようになり、今後もこうした状況は続いていくことが考えられる。
そんな中で後続車無人システムは物流業界にとっては「救世主」的な存在とも言える。いずれは有人の先頭車両がいなくても走行可能な「自動運転トラック」も登場するが、まずはこの後続車無人システムの実現が待たせるところだ。
【参考】関連記事としては「自動運転トラックの開発状況&企業まとめ 利点は? 実現はいつごろ?」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)