JR西日本、「大阪環状線」などで自動運転導入へ 実車テストを実施

「GoA2.5」での導入が第一ステップ



西日本旅客鉄道株式会社(本社:大阪府大阪市/代表取締役社長:長谷川一明)=JR西日本=は2020年2月25日までに、「大阪環状線」と「桜島線」で自動運転を導入する方針を明らかにした。定例の社長会見で触れられ、これまでに実施した試験走行についても説明された。

JR西日本は、20年後を意識した「技術ビジョン」(2018年3月発表)の中で、「無線式ATCなど保安システムの進化と自動運転技術による安全性と輸送品質の向上」を目標の一つとして掲げている。同社は2020年2月にすでに自動運転での実車テスト走行を4度実施しているおり、試験走行はこうした目標を達成するためのものだ。


試験走行は終電後から始発前の間、大阪環状線外回りの大阪〜京橋駅間で、8両1編成の車両に万一を想定して運転士が乗務した状態で実施された。途中で「天満」「桜ノ宮」「京橋」の3駅に停車し、車両の制御機能(加速・惰行・減速)や定位置停止機能、乗り心地などを確認した。

自動運転の導入が決まった環状線には踏切がなく、桜島線も高架部分が多いことから、人が線路を横切る機会が少ない。JR西日本はこうした状況も鑑み、まず大阪環状線と桜島線での導入を決めたと考えられる。

■まず「GoA2.5」での自動運転を目指す

列車運転の自動化レベルは、運転士が乗務する半自動列車運転(GoA2)、列車前頭での添乗員付き自動列車運転(GoA2.5)、列車内での添乗員付き自動列車運転(GoA3)、無人での自動列車運転(GoA4)の4段階に区別されているが、JR西日本はまず「GoA2.5」での自動運転を目指す考えのようだ。


自動走行は条件に応じて走行計画に沿って走る「加減速制御機能」と、駅の所定位置に止めるための「定位置停止制御機能」を組み合わせて実現する。既存の制御装置に2つの機能を追加することでの実装となるようだ。なお、2つの機能の切り替えは線路内に設置している「ATS地上子(線路内の地上に設置された装置のこと)」の一部を活用して行うという。

列車の自動運転に関しては2019年6月に横浜市の新交通システム「シーサイドライン」で逆走事故があったことが記憶に新しい。安全面からもさまざまな事故防止策がとられることが予想される。

【参考】関連記事としては「鉄道の自動運転レベル、GoA0〜4の定義や導入状況を解説」も参照。


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