【資料解説】自動運転、事業者ヒアリングにおいて抽出された課題

国土交通省と経済産業省が公表

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国土交通省などが2020年5月12日に公表した「『自動走行の実現に向けた取組報告と方針』報告書概要Version4.0」では、2025年度までの自動運転サービスの普及目標などが示されたが、事業者ヒアリングにおいて抽出された課題に関する内容にも注目したいところだ。

ヒアリングは自動車メーカーや自動運転システム開発事業者などに対して行い、技術やインフラ面、社会受容性など、さまざまな視点から課題が抽出された。この記事ではどのような課題が抽出されたのか、紹介していく。

▼自動走行ビジネス検討会「自動走行の実現に向けた取組報告と方針」報告書概要Version4.0
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/jido_soko/pdf/20200512_02.pdf

■社会受容性の課題と取り組み

社会受容性では、「(特に都市部・一般道において)多数のステークホルダーとの協力や合意形成の在り方」や「周囲の車両/歩行者に対する、自動運転中であることや次の行動等に関する表示など外部インターフェースの在り方」、「交通ルールを守らない歩行者等への自動運転車の対応の在り方」などが課題として抽出された。

社会受容性に関しては、これまでにも自動運転に関する「ワールドカフェ」(※リラックスした雰囲気でアイデアと出し合ったり討論したりすること)やアンケート、シンポジウムなどを実施され、国民の理解を深めようとする取り組みが行われている。

■インフラの課題と取り組み

インフラ面では「遠隔監視又は遠隔操作における通信遅延解消のため5Gの活用」や「自動運転車の技術・性能や走行環境等に応じたインフラとの連携(信号協調、V2X等)」、「公道(特に都市部)において安全に乗り降り又は荷下ろしを行う場所の確保」などの課題が挙げられた。

■技術の課題と取り組み

技術では、自動運転に必要なセンサーである「LiDARの製造コスト低減と照射距離向上」などが課題として抽出された。

自動運転車両の「目」の役割を担うLiDARの技術は自動運転の実現に必要不可欠とされ、AI(人工知能)を活用した画像認識技術などと組み合わせ、アップデートが進んでいる。

■【まとめ】新時代の到来はもう決して遠くない

このほか、サイバーセキュリティや人間工学などの領域も含め、さまざまな視点で課題があるとされているが、実用化に向けた取り組みは着実に進んでいる。今回のロードマップで改めて、自動運転社会の到来には何が必要で何を改善すべきかがみえた。新時代の到来はもう決して遠くない。

▼自動走行ビジネス検討会「自動走行の実現に向けた取組報告と方針」報告書概要Version4.0
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/jido_soko/pdf/20200512_02.pdf

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記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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