センサーシステムを手がける米FLIR Systems(フリアーシステムズ)は2021年3月2日にまでに、米アマゾン子会社の自動運転開発企業Zoox(ズークス)に遠赤外線カメラを提供することを発表した。
FLIR Systemsの遠赤外線カメラを搭載することで、Zooxが展開する自動運転タクシーのセンシングシステムにおける視認性・安全性を向上させることが狙いのようだ。赤外線カメラでは熱画像を使用するため、昼夜を問わず歩行者や自転車など確実に検知しやすい。
■赤外線技術の大御所、自動運転分野でも存在感
1978年創業のFLIR Systemsは、赤外線技術で世界トップシェアを誇るグローバル企業だ。15年ほど前に自動車分野に進出し、すでに自社開発の遠赤外線カメラモジュールが自動運転レベル4(高度運転自動化)向けの車両で採用されるなど、実績を重ねている。
そんなFLIR Systemsの遠赤外線カメラを、自動運転開発企業の中でも有力企業とされているZooxが採用したことで、自動運転分野におけるFLIR Systemsの存在感は一層高まりそうだ。
FLIR Systemsは報道発表で「Zoox社の自動運転車への導入により、より安全なモビリティの重要なコンポーネントとして広く受け入れられていることを実感しています」としている。
ちなみにFLIR Systemsは、自動運転システムのアルゴリズム構築用に、赤外線画像の教師データを一部無償で提供するなどしていることでも知られる。このデータセットでは、歩行者や自転車、信号機、道路標識などの遠赤外線画像が揃っている。
■自動運転車メーカーのパートナー選びに注目
自動運転車は昼夜問わず安全な無人走行が実現できなければならない。こうした中、明るさなどに左右されずに物体を認識・識別できる赤外線技術は、自動運転車にとって重要な要素だ。
今後、Zooxそしてほかの自動運転車を開発する企業が、赤外線技術・センサーでどの企業をパートナーに選んでいくのか、注目していきたい。
【参考】関連記事としては「自動運転、Foresightのダブルカメラに注目!「赤外線×RGB」で優れた検知性能」も参照。