自動運転バス、BOLDLYが関係省庁との合意で保安要員を撤廃!

ほかにも3つの規制緩和などが実現



BOLDLYが境町で走行させている自動運転車=出典:BOLDLY・公式Facebook

ソフトバンク子会社で自動運転車両の運行プラットフォームを開発するBOLDLY株式会社(本社:東京都千代田区/代表取締役社長:佐治友基)は2021年4月30日までに、茨城県境町で運行している自動運転バスの保安要員を撤廃したことを発表した。

保安要員を撤廃は、関係省庁との合意を受けたものだという。保安要員の撤廃は人件費の削減につながる。


自動運転バスが境町で公道で走行するためには、運転手1人と保安要員1人の配置を求められていた。しかし、運行実績などから保安要員を配置しなくても安全に運行できることを確認でき、関係省庁などと保安要員の撤廃について合意するに至ったという。

■2020年12月提出の4つの要望のうち3つが実現

さらに今回の発表では、2020年12月の「規制改革推進会議第6回投資等ワーキング・グループ」で同社が提出した4つの要望のうち、「歩行者用道路での走行」「既存のバス停の活用」「道路使用許可の取得プロセスの合理化」の規制緩和が実現したことを報告した。

歩行者用道路での走行

歩行者用道路で低速の自動運転車両を走行させることが可能となった。ただし、歩行者に十分な周知を行うこと、道路使用許可を事前に取得していることが条件となる。

BOLDLYは報告書で「歩行者を検知すると直ちに停止する低速の自動運転車両は、歩行者と共存する新たな交通手段としての活用が期待できる」としている。


この規制緩和を受け、2021年3月に⼀般社団法人「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会」と東京都千代田区の丸の内仲通りで、歩⾏者専⽤通⾏時間帯の「丸の内仲通りアーバンテラス」実施時間中に、自動運転バスの実証実験を行った。

既存のバス停の活用

自動運転バスの運行主体と路線バス事業者が合意し、路線バスの利用者などにも役立つことが認められる場合には、既存のバス停を自動運転バスが共用することも可能になった。

これまでは道路交通法第44条第1項の規定により、路線バスの停留所から10メートル内は路線バス以外の車両は駐停車禁止とされていた。今回の規制緩和を受け、境町の自動運転バスの運行では、路線バス事業者が設置する既存のバス停を1カ所利用している。

道路使用許可の取得プロセスの合理化

BOLDLYが境町で運行するバス車両は、⼿動運転時のハンドル・ブレーキは通常の車両とは異なる特別な装置で操作している。このような特別装置自動車が公道で自動走行するために必要な道路使用許可を取得するプロセスが合理化された。


■【まとめ】規制緩和の進展に期待

BOLDLYが政府に提出した「自動運転に係る規制改革要望」では「自動運転車両の専用道、優先通行帯の設定」も求めていたが、これは現状採用されていない。

しかし昨年から今年にかけての規制緩和・撤廃は、自動運転に関わるコストの低下や自動運転の社会実装のハードルを低くすることにつながる。大きな前進だ。

民間企業からの要望をきっかけにして、より規制緩和の動きが進展していくことに期待していきたい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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