米カリフォルニア州の自動運転の試験許可は、大きく分けて2つの区分がある。「補助運転手つき」と「補助運転手なし」の2種類だ。このうち後者は米グーグルからスピンアウトしたウェイモ(Waymo)のみが許可を取得していたことで知られていた。
ただ近々2番目にこの許可を取得する企業が発表されるかもしれない。ロイター通信の2019年12月9日までの報道によると、EC(電子商取引)大手の中国アリババが出資者に名を連ねる自動運転開発企業のオートX(拠点:香港・アメリカ)が、カリフォルニア州の当局に補助運転手なしの許可申請をこのほど行ったらしい。
許可が下りた場合、遠隔地からオペレーターが無人走行の監視や補助をする必要があるものの、完全無人の自動運転タクシーを試験的に実施することができるようになる。
こうした許可を企業がいち早く取得したい背景には、名実ともに「完全無人」の自動運転タクシーの商用化をいち早く実現させたいという思惑がある。実証実験だとしても補助運転手なしで無人走行をさせている企業すら、まだ決して多くない。
■2019年は自動運転タクシー実証が一層盛んに
自動運転タクシーの実証実験や開発競争は2019年に一層盛んに行われるようになった。
例えば、2017年創業のベンチャー企業である中国WeRideは最近、広州で自動運転レベル4(高度運転自動化)での自動運転タクシーの試験運用をスタートさせ、注目を浴びている。利用者は「WeRide Go」というスマホ向けアプリを使って自動運転タクシーを配車する形で、早期の商用化を目指すという。
米インテル傘下のイスラエル企業であるモービルアイは、2022年にイスラエル国内でサービスを開始する予定だ。2020年にはフランスで実証実験をスタートさせ、自動運転タクシー事業の要となる地図データの作製も世界規模で展開している。
ただ、米自動車大手のGM(ゼネラル・モーターズ)傘下のクルーズが2019年内のサービススタートを延期するなど、予定通りに計画が進んでいない企業もある。過去のウーバーの自動運転車の死亡事故などからも分かるように、安全上の懸念が生じた場合はその分ローンチ時期が後ろ倒しになる。
■「書ける人」が設立したオートXに注目
そんな中、オートXの取り組みも今後注目される。オートXはロボット工学の専門家であるシャオ・ジアンシャオ氏が設立した企業で、いわば「(プログラムを)書ける人」がトップの企業だ。技術力には定評があり、今後の動きも気になるところだ。
【参考】関連記事としては「自動運転タクシーの商用化に挑む世界の企業まとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)