災害情報サービスなどを手掛ける株式会社Specteeと一般財団法人「日本気象協会」は福井県とともに、道路に設置されたカメラの画像からAI(人工知能)が路面状態をリアルタイムに判別する実証実験を、2020年12月から2021年8月にかけて実施する。
路面状態を判別できるようになると、自動運転時のAIの走行判断に役立つため、自動車業界としては注目も実証実験となりそうだ。
■路面状況の把握における課題
降雪や気温低下に伴う積雪や路面凍結は、車両事故や車両の立ち往生などの状況を引き起こす要因となる。ただこうした状況をリアルタイムに察知できれば、道路封鎖や注意喚起などで早めの対応が可能になる。
ただいつも関係者が人の目を使って道路の状況を監視するわけにはいかない。冬期間に使用可能な計測機器もコストの高さなどの問題がある。そこで今回、AIとカメラを使って路面状況をリアルタイムに判別する仕組みが構築できないか、実証実験で検証されるわけだ。
■「路面状態判別技術」を県内のカメラに応用し検証
日本気象協会とSpecteeは2019年からカメラ映像に着目し、防災情報をリアルタイムに提供するサービスの開発に共同で取り組んでいる。広範囲に設置されたカメラの画像をAIで判別できれば、さまざまな場所の道路状況が網羅的に把握可能となる。
実証実験では、両者で共同開発した「路面状態判別技術」を福井県内にある路面状況確認カメラに応用し、精度検証を行うという。今回の実証実験では、通行の安全性や除雪作業などの実施判断などに役立てたい考えだという。
Specteeの村上建治郎代表取締役は報道発表で「今回のカメラを使ったAIによる路面状態の自動判定は、初動対応に必要な網羅的なデータを取得するのに役立つとともにMaaS技術への応用が期待されます」とコメントしている。
■【まとめ】自動運転の実現に確実に役立つ技術
今回の実証実験は、直接的に自動運転技術に関する取り組みというわけではないが、冬期間は人間の運転手もさまざまな走行判断を路面状況などから行っているため、AIによる路面分析技術は確実に自動運転の実現に役立つものだ。
特に豪雪地域は冬期間の路面状況の変化が著しく、自動運転のハードルは決して低くない。こうした取り組みはまだ始まったばかりだが、大いに成果に期待したいところだ。
【参考】関連記事としては「雪道にも自動化の波!国も推進する「自動運転×除雪」」も参照。