自動運転ロボタクシーが仕事を奪う ワシントンDCで抗議デモが激化か

中間管理職と重複組織を中心に解雇



自動運転ロボタクシーが運転手の仕事を奪う。そんな懸念を訴える抗議デモが、米首都ワシントンDCで激化する可能性が出てきた。現地時間10月6日、配車アプリの運転手や労働組合員ら数十人が市議会庁舎の前に集まり、ロボタクシーの商業運行に道を開く法案の否決を求めた。


現時点の規模は数十人にとどまるが、反対派は7月の公聴会に合わせても集会を計画していた。今回は運転手や組合幹部に加え、聖職者や小規模事業者も参加している。市議会は同日の会議で採決しなかったが、年末までに採決される見通しで、採決が近づくほど抗議の動きが強まる可能性がある。

編集部おすすめサービス<PR>
自動車保険 スクエアbang!(一括見積もり)
「最も安い」自動車保険を選べる!見直すなら今!
新車定額!リースナブル(車のカーリース)
お好きな車が月1万円台!頭金・初期費用なし!
車業界への転職はパソナで!(転職エージェント)
転職後の平均年収837〜1,015万円!今すぐ無料登録を
タクシーアプリは「DiDi」(配車アプリ)
クーポン超充実!「無料」のチャンスも!
編集部おすすめサービス<PR>
スクエアbang!
「最も安い」自動車保険を提案!
リースナブル
新車が月々2万円から!
パソナキャリア
転職後の平均年収837〜1,015万円
タクシーアプリDiDi
クーポンが充実!「乗車無料」チャンス
DodaX

■「自動運転ロボタクシーが仕事を奪う」、市議会庁舎前に集まった運転手たちの訴え

10月6日の火曜日、ワシントンDCの市議会庁舎であるウィルソン・ビルの前に、配車アプリの運転手、労働組合の幹部、聖職者、小規模事業者らが集まった。地元テレビ局の報道によると、参加者は数十人規模だ。彼らが求めたのは、商業用の自動運転車に規制の枠組みを与える法案を、市議会が否決することである。

米配車大手Uber(ウーバー)で働くHelen Raynor氏は、シングルマザーとして息子を育て、娘を大学に通わせている。働いても支払いは苦しく、すでに支出を切り詰めており、Uberの収入が欠かせないと語った。もし収入を失えば、何を削るか見当もつかないという。

運転手でつくる労働組合App Drivers Union(アプリ・ドライバーズ・ユニオン)の代表Autumn Weintraub氏は、自動運転ロボタクシーが人間の仕事を置き換え、地域経済に深刻な打撃を与えると訴えた。同組合は、市内に2万人超の会員がいると主張する。会員の多くはUberなどの配車アプリで働くという。


現時点で、抗議デモの規模は大きくない。現地テレビ局は参加者を数十人と伝えており、混乱や暴力があったとする報道も確認できていない。それでも、今後強まるとみられる材料はある。反対派は7月の公聴会に合わせても集会を計画していた。今回は運転手や組合幹部だけでなく、聖職者や小規模事業者も加わり、顔ぶれが広がっている。市議会は年末までに採決する見通しで、採決が近づくにつれ、抗議が広がる可能性がある。

【自動運転ラボの視点】
ロボタクシーと雇用の対立は、無人の商業サービスが始まる前に表面化した。導入前に影響を議論できる利点は大きい。タクシーの担い手不足と共存の道を探る日本にとっても、先行事例として注視すべき動きだ。

Googleのロボタクシー「労組が全力阻止」米国各地でデモ活発化


■反対派が挙げた収入減データ、Uberは「運転手4人分」と主張

反対派が根拠に挙げたのは、配車や配達の稼働状況を追跡する米Gridwise(グリッドワイズ)のデータだ。地元テレビ局によると、自動運転車が走る都市では、運転手の1時間あたりの配車回数が減り、複数の市場で1時間あたりの収入も下がったという。

Gridwiseの調査を伝える米メディアによると、2024年7月から2025年7月の1年間で、運転手の時給はサンフランシスコで6.9%、オースティンで5.3%、ロサンゼルスで4.7%、フェニックスで3.8%下がった。同じ期間、全米の配車市場では1.0%上昇している。自動運転車が稼働する都市に限って、収入が下がった形だ。

ただし、これは民間企業が集めた他都市の稼働データであり、DCでの実績ではない。DCにはまだ無人のロボタクシーが走っていないためだ。

Uberの立ち位置も単純ではない。同社は法案に反対しており、自動運転ロボタクシーを人間の運転手も使うプラットフォームで運行させる規則を求めて、ロビー活動をしていると伝えられる。7月13日の公聴会では、同社のHarry Hatfield氏が、自動運転車1台が運転手4人分の仕事をこなすと述べ、影響は現実のものだと強調した。

【参考】関連記事としては「Uberのロボタクシー・自動運転戦略まとめ【ウーバー】」も参照。

■ウェイモは「数百人の雇用創出」と反論、整備拠点2か所で採用へ

これに対し、ウェイモは雇用を失わせるどころか生み出すと主張する。市内でサービスを広げれば、数百の仕事が生まれるという立場だ。

具体策は7月13日の公聴会で示された。ウェイモは第5区と第7区に整備拠点を2か所構え、数百人を雇い、数百万ドルを投じると説明した。同社の州・自治体政策の地域責任者であるMatthew Walsh氏は、雇用の減少があることも認めたうえで、車両管理や部品供給といった分野で新たな需要が生まれると述べた。

Walsh氏は、運転手の収入を左右しているのは配車会社だとも指摘した。配車会社が運転手の収入の4割近くを取っているとする報告がある、という主張だ。

ウェイモは、世界の自動運転ロボタクシー市場で首位を走る。市場調査では、2026年のシェアが22.01%と予測され、中国勢が僅差で追っている。

雇用の規模感を比べると、論点は数字の大きさにある。法律事務所JGLの解説は、既存の配車労働者の数が、法案で認められる自動運転車の台数の6倍から10倍にのぼると指摘する。創出される仕事と失われる仕事の数、質、賃金の差が、最大の争点になりそうだ。

■法案の焦点は事業者への課税、運転手を支える基金の仕組み

法案の正式名称は、Autonomous Vehicle Deployment Authorization Amendment Act of 2026(2026年自動運転車展開認可修正法)である。Allen議員が5月に提出した。商業用自動運転車の許可と監督はDC交通局が担い、事業者ごとに車両は200台まで、運行は市内8区すべてで求める。

財源の柱は走行距離課税だ。自動運転車の走行1マイルあたり15セントを事業者に課し、客を乗せない走行や遠回りを抑える狙いもある。この課税収入と許可の申請料を新しい基金に集め、半分を公共交通のメトロに、残る半分を職を失うおそれのある運転手の支援に回す。

運転手側に回る基金が、ワークフォース・ファンド(労働者支援基金)だ。運転手の教育や職業訓練、就労支援に使う。Allen議員は、置き換えの影響を受ける労働者のために資金を積み立てる仕組みは、他の自治体にないと説明する。

賛成側の狙いは、規制のない展開を防ぐことにある。Allen議員は、技術の展開に歯止めをかける枠組みを整え、安全や労働者への影響に配慮する法案だと説明した。

現行のDC法では、自動運転車の試験でも運転席に人がいなければならない。ウェイモは2年以上、安全運転手を乗せて走行試験と地図作りを続けてきたが、無人の商業サービスは始まっていない。法案が成立しても、許可を得た事業者が運行を始められるのは2028年1月1日以降になると伝えられている。直近の正式な動きは7月の公聴会で、10月6日の会議でも採決は行われなかった。

■自動運転ロボタクシーは本当に人の仕事を奪うのか

ワシントンDCの議論の特徴は、無人の商業サービスが始まる前に、雇用と財源の問題を法案に組み込もうとしている点にある。自動運転ロボタクシーが仕事を奪うという抗議の声に対し、事業者への課税で影響を和らげる仕組みを用意する発想は、Allen議員の言葉を借りれば他の自治体にない。

米国内でも対応は割れている。ミネソタ州のミネアポリス市議会は10月1日、運転免許を持つ安全監視員をすべてのロボタクシーの運転席に置くことを、7対6の僅差で義務づけたと伝えられる。ウェイモはこの措置を、自動運転車の事実上の禁止だと批判した。推進と規制のあいだで、ロボタクシー市場の広がり方は都市ごとに違ってくる。

日本でも、同じ論点が遠くない将来に浮上するだろう。国内では、タクシー配車アプリ大手のGOと日本交通がウェイモと組み、東京都を拠点に自動運転タクシーの導入を探っている。ティアフォーも、2027年に都内全域を対象とした自動運転タクシー事業の展開を目指す。実用化が近づくほど、運転手の仕事と暮らしをどう守るかが問われることになる。

ロボタクシーは仕事を奪うのか。ワシントンDCの議論が示すのは、その答えが技術の性能だけでは決まらないという事実だ。影響を受ける人の声を聞き、財源を用意し、運行の条件を決める。そうした制度設計が、自動運転タクシーの受け入れ方を左右する。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




関連記事