
過去に自動運転の自社開発を断念している米配車大手のUber Technologies。しかし最近、自社開発した自動運転車が公道を走行していることが明らかになった。
こう聞くと、かつて諦めた自動運転タクシー(ロボタクシー)の自社開発に再挑戦しているように思えるが、今回の自動運転開発の目的は過去とは全く異なるようだ。
Uberの自社開発の自動運転車による走行は、あくまでUberの多数のロボタクシーにおけるパートナー向けにデータを収集することが目的だ。
データ収集のために独自の自動運転車を投入しながらも、ロボタクシーとしては使用せず情報の収集のみに用いるようだ。
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■パートナー企業のためAV Labs創設
Uberは新たなプロジェクト「AV Labs」を立ち上げ、自社開発の自動運転車の公道走行をスタートさせた。この自動運転車には、カメラやレーダーのほか、「自動運転の目」と呼ばれるLiDAR(ライダー)などが搭載されている。

現在、Google系の自動運転開発企業Waymo(ウェイモ)など多数の自動運転車を展開する企業とタッグを組み、自動運転車の配車プラットフォーマーとして活躍しているUber。今回の自動運転走行では、そのパートナーによるロボタクシー向けにデータ収集を行っている。
【参考】関連記事としては「米Uber、自動運転導入の「まるごと支援サービス」開始」も参照。
UberのCFO(最高財務責任者)であるBalaji Krishnamurthy氏はX(旧Twitter)で2026年5月21日、「私たちはAV Labsの車両群を実用化するための準備を進めてきた。今後数カ月のうちに、カメラやLiDAR、レーダーといった各種センサーを搭載した数百台規模の車両をUberのネットワーク上で稼働させる予定だ」と投稿している。
さらにこのプロジェクトの趣旨として、下記のように説明している。
重要なのは、これらの車両が収益を生み出しながら、通常のUberの配車サービスを実際に行うという点だ。空港への送迎や工事現場を通るルート、混雑した市街地の道路走行などをこなしながら、Uberのネットワークが毎日何度も対処している多種多様なエッジケースに触れていく。Uberは1日に4,000万件もの乗車を処理している。
私たち自身やパートナー企業がよく議論してきた共通の疑問がある。それは、「どれだけのデータがあれば十分なのか?」ということだ。その1つの考え方として、世界中の自動運転事業者は、初めて一般向けの無人運転サービスを開始するまでに、少なくとも1,000万マイル(約1,609万キロ)分のデータを必要としてきた。
2026年末までに、この車両群は少なくとも毎月200万マイル(約322万キロ)分のデータを生成する見込みであり、2027年にはさらに規模を拡大していく予定となっている。Uberはパートナー企業に対して、自動運転開発向けデータへのアクセスを民主化していく。そしてそれを、Uberにしか生成できない最高水準のデータによって実現していく。
We have been busy bringing our AV Labs fleet to life. Over the coming months, many hundreds of cars fitted with a suite of sensors (cameras, lidars and radars) will be operating on Uber’s network. Importantly, these cars will be generating revenues and completing regular Uber… https://t.co/CpsuAdaW9G pic.twitter.com/INqFq08h75
— Balaji Krishnamurthy (@_balaji_km) May 21, 2026
■過去の自社開発中止の経緯
かつてUberは、自動運転開発部門「Advanced Technologies Group(ATG)」を設け、自社で自動運転開発を行っていたことがある。しかし度重なるトラブルや事故により開発が思うように進まず、2020年12月に米Aurora InnovationにATGを売却したという経緯がある。
過去の苦い教訓があるからこそ、Uberの現CEO(最高経営責任者)であるダラ・コスロシャヒ氏は、自前の自動運転車でのロボタクシーサービスは行わない方針なのであろう。現在、ウーバーの自動運転戦略は、かつての自社開発からオープンプラットフォームの活用に完全に方向転換している。ただし自動運転関連事業に非常に期待しているのは、過去の同氏の発言により明らかだ。
Uberは米国では、WaymoのほかAurora InnovationやNuro、Motional、Avride、Waabi、May Mobilityなどとパートナーシップを結んでいる。米国外では、WeRideや百度、Pony.ai、Momenta、Wayveなどと提携しており、その数は20社を超えているようだ。WeRideはUberとともにすでにアラブ首長国連邦のドバイで自動運転タクシーサービスを開始しており、2026年に無人サービスに移行する予定となっている。
さらに米EVメーカーのLucidおよび自動運転スタートアップのNuroとは、次世代自動運転ロボタクシープログラムで2025年7月に提携している。2026年5月には、Nuroがカリフォルニア州の規制当局から乗客を乗せた公道試験の許可を得ている。この3社によるタッグのみ、Uberはプラットフォーマーではなく自動運転車開発にも参画していることになる。
■【まとめ】「後方支援」という地位を確立
Uberはもはや、先頭に立ってロボタクシー開発を競合と争うつもりはない。かつての自動運転開発での大失敗から同社が学んだ教訓は、自らがデータサプライヤーとして、自社開発車両を究極のデータ収集マシンとして走らせることだ。これにより、提携するすべてのロボタクシーパートナーにも多大な恩恵があり、これまでのUberの経験も生かせるという、賢明かつ極めて現実的な戦略に舵を切ったと言える。
【参考】関連記事としては「SBG孫正義が出資のNuro ついにサンフランシスコでロボタクシー商用化へ」も参照。













