中国の新興自動車メーカーXpeng(シャオペン/小鵬汽車)が、量産ロボタクシーの出荷を開始したようだ。同社によると、自動車メーカーが自社開発を通じてロボタクシーを量産した中国初の事例という。
米国ではテスラがモデルYベースのロボタクシーサービスを展開しているが、これは仮のモデルであり、ロボタクシー専用設計ではない。専用の「Cybercab」の量産も2026年4月に開始しているが、出荷はまだ先となる見込みだ。
そう考えると、正式なロボタクシーモデルとしては、Xpengがテスラを抜いて先にサービス実装することも考えられる。
中国版テスラと言われることが多いXpengだが、ついに本家に追い付き、追い越すフェーズに突入したのか。Xpengの最新動向に迫る。
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■Xpengの最新動向
自社開発のロボタクシー出荷開始
Xpengは2026年5月、広州で量産型ロボタクシーの出荷を発表した。自動車メーカーが自社開発によるフルスタック・ロボタクシーの量産を実現した中国初の事例という。
ロボタクシーはXPENG GXプラットフォームをベースに構築しており、中国初の組み立て済みロボタクシーモデルとなる。自社開発したTuring AIチップを4つ搭載し、業界トップクラスの3,000 TOPSのオンボード演算能力を実現するという。
レベル4の自動運転基準に基づいて設計しており、LiDARや高精度地図を完全に排除し、VLA 2.0エンドツーエンド大規模モデルによる純粋なビジョンベースで自律走行を実現している点がポイントだ。
従来の「ビジョン~言語~アクション」の3段階アーキテクチャにおける言語変換ステップを排除し、システム応答遅延を80ミリ秒未満に短縮し、さらに都市横断的な汎用性も強化されているという。
車体は既存のプラットフォームを活用し、半導体設計をはじめ、AI、車両プラットフォーム、製造管理までを垂直統合し、サードパーティ製のハードウェアやソフトウェアに依存しない設計によってコスト削減と開発スピードの向上を図っている。
一方、車内空間はロボタクシー専用に設計されており、従来のドライバー中心のレイアウトを廃止し、プライバシーガラスや後部座席のエンターテイメントスクリーンなどを備えた乗客優先の設えになっているという。
テスラのCybercabより先に本格稼働も?
テスラ同様エンドツーエンドの自動運転だが、明確に「レベル4」をうたっており、ODD(運行設計領域)が気になるところだ。各都市などの規制に合わせ、まずはエリアを区切って実装開始するのかもしれない。
既存プラットフォームを活用し、ハード・ソフトの内製化でコスト削減を図っている点もポイントだ。テスラも内製化を促進しているが、Cybercabはハンドルなどを備えない専用設計だ。
テスラの場合、工程の工夫などで効率的な量産化を図る一方、コンシューマ向けとしては自動運転専用設計が規制をクリアできるか不透明で、変更を余儀なくされる可能性も高い。ロボタクシー専用として販売するのか否か……なども注目すべき点だ。
Xpengはあくまでロボタクシー用途として量産化を進めており、場合によってはテスラよりも早く本格稼働することも考えられる。
すでに広州市から自動運転の公道走行ライセンスを取得しており、レベル4実証を進めている。2026年3月に製品定義、研究開発試験、運用を統括するロボタクシー事業部を設立し、商業化ロードマップを加速させているという。
2026年後半にもロボタクシーの試験運用を開始し、実環境におけるエッジケースへの対応やユーザーの受容性、採算性を検証する。計画通り進めば、2027年初頭にもセーフティドライバーなしの無人サービスを展開するという。
【参考】関連記事「テスラのロボタクシー量産へ、でも「ハンドルなし」は幻?規制の壁に直面」も参照。
2027年にグローバル展開を本格化
Xpengの何小鵬CEOの頭には、すでにグローバル路線が刻まれているようだ。VLA 2.0による国際的な公道テストに近く着手し、2027年にもグローバル展開を図っていく計画も明かされている。
中国市場内だが、すでに独フォルクスワーゲンがパートナーシップを結び、最初の顧客としてVLA 2.0を導入するという。高度なADASとして導入するのか、自動運転サービス用途なのかは不明だ。
小鵬CEOは「VLA 2.0は完全自動運転を実現するために設計された最初のバージョンであり、前例のないペースで改良を重ね、今後1~3年以内に完全自動運転の実現を目指す」としている。
また、VLA 2.0の基盤となるAI基盤モデルは、乗用車以外の分野へ拡張できるよう設計されており、ロボタクシーをはじめ、ヒューマノイドロボットやモジュール式飛行車両システムなど、複数の具現化されたAIプラットフォームに適用可能という。ヒューマノイドロボットの開発などもテスラに類似する点だ。
こうした技術は当然ADASにも導入されており、Xpengはレベル2+に相当するハンズオフ運転をすでに都市部でも実用化している。正確な比較は困難だが、テスラのFSDに匹敵する性能と思われ、YouTubeにアップされた動画でも込み入った都市部におけるハンズオフ走行を確認することができる。
自動車販売台数は2025年に40万台超とまだテスラには及ばないが、四半期黒字も達成し、グローバル販売にも本腰を入れ始めた。「中国版テスラ」と言われるXpengだが、ついに本家超えをうかがうフェーズに突入したのかもしれない。
【参考】関連記事「自動運転とVLAの関係性解説 E2E開発の基盤に」も参照。
■【まとめ】テスラ VS. Xpengの観点からも注目
自動車メーカー自らの技術で開発したVLAモデルによるロボタクシーの量産化――ということで、今後、台風の目となることは必至だが、レベル4を満たす水準に達しているか、またビジョンベースでどのようにODDを設定し、規制をクリアするか――など注目ポイントは多い。
どこでも自動運転を可能にする前提のビジョンベースだが、全面突破を目指すと規制に阻まれる。まずはエリアを区切って一点突破し、実績を積み重ねる必要があるのかもしれない。
対抗馬が急成長を遂げる中、テスラはどのように動くのか。「テスラ VS. Xpeng」といった観点からも要注目だ。
【参考】関連記事としては「中国 自動運転の「独自ルール」策定へ 日本の国際規格と衝突か」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)