自動運転AIに「駐車券を自分で取れない」脆弱性 「新市場」爆誕か?

チケットレス・自動精算が商機に?

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SNS「X」に興味深い話題が投稿された。自動運転車は将来最安のコインパーキングを探して駐車してくれるようになるのか……といった素朴な疑問を皮切りに、無人ゆえ既存のコインパーキングを利用できない……といった盲点が浮かび上がるなど、議論が議論を呼んでいるようだ。

サービス専用の自動運転車ではなく自家用自動運転車が実現した場合、これまで人間が当たり前に対応していたタスクについても、無人化が求められることになる。新たな課題が浮上するわけだが、裏返せばそこに新たな商機を見出せるかもしれない。

未来の自動運転時代、新たに見出される課題と商機に触れていこう。

【参考】関連記事としては「自動運転AIでの「ハルシネーション」の問題と危険性」も参照。

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■自動運転×コインパーキングに関するSNS投稿

自動運転車は格安・最寄りのコインパーキングを見つけられる?

投稿は、VRエンジニアのKenji Iguchi氏の以下の投稿「各社が開発競ってる自動運転、いずれは日本の都会で目的地付近のコインパーキングを探し回って、なるべく安くて空いている場所を見つけ出して駐車、までやれるようになるかなあ。都会の運転の避けられない一要素なので、これを抜きに完全な自動運転は名乗れないと思うけども。」に端を発する。

自家用の自動運転車が実現した場合、オーナーなどの乗員を乗せたまま車両が駐車場に停まる……ということはあまり考えられない。ショーファーカーのように、目的地の目前で乗員を降ろし、そこから自動運転車が自動で駐車場に向かうほうが利便性・満足度が高いためだ。

その際、なるべく安い金額で停めることができる駐車場を探す機能が重要視される。一般的には、時間貸し駐車場のデータベースを参照し、現在の時間や曜日、空き状況などを踏まえた上で最寄りの最安駐車場を探すことになりそうだが、登録情報とリアル料金が異なることも想定される。料金が表示された看板を自動運転車が正しく読み取れるかが問われる可能性もありそうだ。

この投稿に対し、さまざまなリプライが寄せられている。

やはり事前に各パーキングと提携するなどした方が効率的ということだろう。

レベル5相当の自動運転自家用車が誕生すれば、おそらく自家用車に対する概念・価値観が変化するのも事実だろう。自動運転タクシーが気軽に安価で利用できる段階に達すれば、「所有から利用へ」といった流れが大きく加速する可能性が高そうだ。

都心部では、高額な駐車料金が設定されているケースも目立つ。であるならば、駐車せず無人のまま周辺をうろついてもらった方がコスト的に安い……とする考えも真っ当である。一方、そのせいで渋滞が悪化する懸念も指摘されている。

こうした様々な反応に対し、Kenji Iguchi氏は「オーナー自身の私的な損得だけならそうかもしれないけど、渋滞の増加、路面の劣化、回送中の事故リスク、エネルギーの空費による余計なCO2排出などなど、オーナーが得をする一方でオーナー以外に様々な不利益(外部不経済)を押し付ける事になる。そんな自己中心的な機能を社会的責任の大きい自動車メーカーが公式機能として自ら実装する可能性は低いのではないか」と自論をまとめた。

また、「個人所有は今より減るとは思うけど、個人所有車が絶滅する・絶滅危惧になるほど劇的に減るかは疑問に思う」とも考察している。プライベート・パーソナル性を考慮し、自家用車を必要とする層は一定数出てくるのでは……という考え方だ。

一方、Kenji Iguchi氏の投稿をリポストしたMIRO氏は、10分600円などと表記されたコインパーキングの画像を添えて「自動運転『コインパーキング見つけたのねん!自動で駐車しておいたのねん!』」と投稿した。

自動運転車が料金設定を気にせず停めてしまうことを暗示したものと思われる。また、「そのうち駐車料金避けのために用事の間ずっと自動でそのへん走らせてたりする、とかもあり得るんだろうか。そしてそれが渋滞の原因になったり??都心では単なる通行車ではなく路上滞留車が渋滞の原因になってる、って「上品ドライバー」で見た記憶があるなあ。これだっけか」「路上に車停めていてもすぐに運転できる状態を停車と言うならば、自動運転スタンバイ状態で無人待機中の車は駐車なのか停車なのか」など、新たな疑問も提起している。

このMIRO氏の投稿をリポストしたTuring創業者・代表取締役の山本一成氏は「自動運転システムだと駐車場チケットを勝手に取ったり精算したりできないからいつもどうしようと思っている」と投稿した。開発者によるリアルな問題提起だ。

既存パーキングでは、無人ゆえにチケットの受け取りや料金の支払いができないという課題があるようだ。近年、ナンバープレートを読み取ることでチケットレス化を果たし、かつキャッシュレス決済可能なパーキングが増えてきているものの、大半はチケットや手動操作が必要な仕組みだ。

■自動運転×コインパーキングが抱える課題と商機

チケットレスかつ自動精算が必須

中に乗員(オーナー)がいれば、チケットタイプのパーキングにも一応対応可能ではあるものの、ショーファーカー的に考えれば、目的地で乗員を降ろしたのち、自動運転システムが無人で駐車場を探すのが筋となる。

駐車せず走行させ続けたほうがコスパが良い的な意見も意外と多いが、交通渋滞の一因となり、環境面から好ましくないのも事実だ。

運転席にロボットアームを付けることも不可能ではないだろうが、現実的ではない。自動運転車サイドとしては、さまざまなチケットレス・キャッシュレス仕様に対応可能なシステムを搭載し、パーキング事業者と提携して空き情報や料金情報などを入手したうえで駐車する――といった感じだろうか。

一方、パーキング事業者やIT系企業にとって、こういった課題は商機となる。いち早く無人車両がスムーズに駐車できるシステムを開発し、プラットフォーム化・規格化することで大きなシェアを獲得できる可能性があるためだ。

チケットレス・キャッシュレスのパーキングはすでにあり、手動運転車にとっても利便性は高いが、精算の段階で人間の手が必要なものが大半を占める。自動決済機能はまだごく一部に限られているのだ。

カーナビやスマートフォンと連動して空き情報や料金情報もリアルタイムで反映できるシステムを整備し、予約機能や決済機能なども含めた総合的なプラットフォームを構築できれば、利便性はいっそう高まる。人間のドライバーにとっても有益なため、完全自動運転車の登場を持つことなくビジネス化できるだろう。

自動決済機能搭載のパーキングシステムも登場

AIパーキングシステムの開発を手掛けるDataHaxは2024年3月、ETCのように利用料を自動決済できるAIパーキングシステム「電脳ETC」のリリースを発表した。

特別な機器を設置することなく、AI車番認識アルゴリズムを活用することでノンストップ精算を可能にしたという。

事前に車番情報とクレジットカード情報の登録が必要だが、一度登録を済ませれば、入庫から出庫に至るパーキング利用の全過程で一切の手間が不要となる。無人の自動運転車でも対応可能なシステム構成だ。

同様のシステムは、NTTル・パルクも実装している。スマートパーキング自動精算アプリ「PARK&GO」に登録し、車両情報や決済情報を登録する。駐車後の精算時、スマートフォンで「支払い確定」をタッチして精算完了する必要があるが、おそらく間違い防止やサービス券加算などのためと思われる。省くこともできるのではないだろうか。

出典:App Store

▼スマートパーキング自動精算アプリ PARK&GO|NTTル・パルク
https://www.le-perc.co.jp/solution/park-go/

給油や充電は対応可能?

人手を必要とする要素としては「給油」「充電」も考えられる。自動運転車はおそらく完全BEV化の流れが大きく進行するものと思われ、従来のガソリンスタンドに立ち寄る機会はなくなりそうだ。仮にPHEV(プラグインハイブリッド)の需要が一定数存在するならば、スタンド側でそれに対応したシステムを構築することで、ニッチな需要に応えるビジネスチャンスになるかもしれない。

BEVに関しては、非接触給電技術が進化の過程にあり、プラグを抜き差しすることなく駐停車するだけで充電できる環境が整うものと思われる。

自家用自動運転車でラストマイル問題を解決?

自家用自動運転車を活用し、ラストマイル問題の一助とするビジネス案なども考えられる。テスラCEOのイーロン・マスク氏が自家用自動運転車を活用したロボタクシー構想を発表し、新たな発想の自動運転ビジネスとして注目が集まる一方、「マイカーに不特定多数の人を乗せたくない人が多いのでは」と懐疑的に見る向きも少なくない。

確かに、高級な自動運転自家用車が誰にどのように使われるか……と想像すると、抵抗を感じてもおかしくはないだろう。

では、荷物の配送ビジネスであればどうだろうか。乗せるのは不特定多数の人ではなく、荷物だ。乗せる場所もトランク限定など指定できる。ドア開閉や受け渡し用のキーなど、一通りのシステムを備えていれば、空いた時間に配送業者などにレンタルするような形で小遣い稼ぎできるかもしれない。

現状、愛車に対しては「他人の指紋一つけられるのも許せない」ほどの愛着を持っている人もいるだろうが、運転を必要としない自家用自動運転車が実現すれば、徐々に「愛車」感覚が薄れていく可能性が考えられる。

自家用車の存在意義そのものが変化するとともに、価値観も変わっていく。その際、自家用車をどのように有効活用できるか――といった観点にも、商機が眠っているはずだ。

■【まとめ】自家用自動運転車は夢物語ではない

レベル4以上の自家用自動運転車は、高速道路限定から始まり、徐々にODD(運行設計領域)を拡大していくことが想定される。ドライバーがほぼ必要無くなるレベル5相当の実現時期は未定だが、エンドツーエンドモデルの開発が急加速しており、予想より早く実現する可能性も考えられる。ドライバー不要の自家用自動運転車は、もはや夢物語の存在ではなくなりつつあるのだ。

こうした未来のモビリティが実現した社会を想像し、いち早く課題を見出すことで新たな商機が生まれる。自家用自動運転車が有するポテンシャルを効果的にビジネス化し、利便性を高めていきたいものだ。

【参考】関連記事としては「自動運転とAI(人工知能)、関係性の基本と応用」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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