万博の空飛ぶクルマ、「ヘリじゃんww」と炎上

案の定、「呼称問題」が波紋……

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出典:丸紅プレスリリース(※?マークは自動運転ラボで追加しております)

大阪・関西万博がついに開幕した。並ばない万博をうたっていたものの各所で行列ができるなど問題も散見されるが、各パビリオンの評判は上々の様子で、SNSでは来場者によるポジティブ情報も増えてきた。

空飛ぶクルマのデモンストレーション飛行も4月13日にスタートし、目撃者の反応やニュース記事への反応がSNS上に集まり始めた。

万博の目玉の一つに位置付けられる空飛ぶクルマにはどのような反応が寄せられているのか。ネット上の声を紹介していく。

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■Xに投稿された万博×空飛ぶクルマの反応

SNS「X」では、来場者や万博関連ニュースを見た人の声が続々と投稿されている。以下、ざっくりと紹介していく。

・車の定義はとかドローンやんとかあるけど夢があるよね
https://x.com/_0tofu/status/1912210430359138418
・この空飛ぶ車で通勤できたら、渋滞しないでしょう!ヘリコプターと違うのはわかりませんが
https://x.com/nihonbashidc/status/1912321367955132814

呼称や機能に疑問を持ちつつも、新たなエアモビリティの誕生に期待する声が散見される。会期を通してどこまで機運醸成を図ることができるか……といった目線で見れば、こうした声が上がってくることは非常に喜ばしいところだ。

・事前予約①空飛ぶクルマステーション 自分の足元の振動や音、かなり頑張ったよスタッフさんがみゃっくんのしっぽ可愛いって
https://x.com/waka031251/status/1912743395652723012

空飛ぶクルマステーションをさっそく見学した来場者もいたようだ。ミャクミャクのぬいぐるみが主人公になっている気がしなくもないが、展示施設のPRの一助となる。運営側からすれば、こうした投稿も喜ばしいものだろう。

出典:丸紅プレスリリース

一方で……

・ドローンと違いますか?ワイが持ってるドローンと同じ音がしてるwww
https://x.com/masanews3/status/1911728443034656832
・これを見た人の顔 → (・_・)
https://x.com/airi_fact_555/status/1911920835855782295
・どう見てもクルマではない……
https://x.com/meesdemocracy/status/1912066352900391372
・万博の空飛ぶクルマなんか思ってたんとちゃう…。こういうのが欲しいよね。この先万博のクルマが進化して映画のようになるのだろうか
https://x.com/2501nnn/status/1912317210112209037
・大阪万博の空飛ぶクルマ。どの辺がクルマなのか誰か教えて。
https://x.com/hide_Q_/status/1912315482801328313
・うーん🤔これが「空飛ぶ車」か……吉村何でこれにゴーサイン出したんだろ? 私には概念がズレてるようにしか思えないんだけど……
https://x.com/karisumaofftime/status/1911662958767378805
・何度でも言います。「馬鹿」という言葉の起源。むかしの中国の権力者が鹿を指して「あれは馬だ」と言い、違う鹿だと言った正直な家来を粛清した話。これ、誰がどう見てもヘリコプターやろww
https://x.com/knife900/status/1911387812319863149

やはりと言うか何と言うか、呼称に関する疑問が先行してしまい、そこに詰め込まれた技術には目が向かないようだ。

空飛ぶクルマの呼称に関しては、以前から「クルマではない」「現実に即した呼称にシフトした方が良い」といった声が散見されていたが、実際に多くの人の目に触れる万博を通じて、このクルマではない論がいっそう強まることになりかねない。

名称に違和感を覚えるだけであればよいが、こうした違和感が空飛ぶクルマそのものに漠然と負のイメージを及ぼすこともある。名称への疑問が、機能や技術への負のイメージにつながりかねず、その懸念がぬぐえないのだ。

「空飛ぶクルマ」はあくまで通称だが、海外でも通用する「eVTOL(electric Vertical Take-Off and Landing aircraft)」や「UAM(Urban Air Mobility)」、「AAM(Advanced Air Mobility)」といった名称を用いても、「なんのこっちゃ」と敬遠されてしまう可能性が高い。

早い段階で呼称・愛称を公募するなどし、なじみやすくかつ突っ込みどころのない名称を採用していれば……と思わずにはいられない。

【参考】空飛ぶクルマの呼称問題については「空飛ぶクルマは「クルマじゃない」!?万博前に呼称変更か」も参照。

また、こんな投稿も出始めているようだ。

「中国製」という、こうしたデマ情報も平然と投稿されているから驚きだ。これまでに万博に登場した空飛ぶクルマは、日本のSkyDriveと米LIFT Aircraft製のものだが、いずれも中国製ではないものと思われる。

▼大阪・関西万博における空飛ぶクルマの各社準備状況(2025年4月3日現在)
https://www.expo2025.or.jp/wp/wp-content/uploads/eaeefa7047a393cf8e6bba86b8fbbe0a.pdf

出典:万博公式サイト(※クリックorタップすると拡大できます)

SkyDriveは自動車メーカーのスズキと提携し、静岡県磐田市の工場で製造を進めている。LIFTの製造拠点は不明だが、まだ本格量産段階には至っておらず、おそらく米国内でオーダーメイドのような形で製造しているものと思われる。少なからず、現段階において中国で製造するメリットはない。

ついでに言うと、導入されている自動運転バスも大半は国産モデルで、中国製バスは極一部だ。

根拠のない悪質なデマだが、リテラシー能力に欠けたSNS利用者の中にはこうした情報を鵜呑みにしてしまう人もいる。

ただ、こうした投稿は意外と侮れない。万博や、万博を推進する某政党に反感を抱く人は少なからずおり、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」の精神で空飛ぶクルマも非難対象となる可能性があるためだ。正当な評価外の投稿にもかかわらず、それを目にした第三者に負のイメージを広げてしまう。要注意が必要だ。

このほか、国土交通省や開発企業なども万博×空飛ぶクルマ関連の投稿を行っているので、いくつか紹介しておく。

<国土交通省>
・大阪・関西万博 空飛ぶクルマは、将来的にエアタクシー、観光、救急医療など、様々な場面での活用が期待されます。 万博では、会場周辺の飛行や、会場内外の離着陸場を結ぶ二地点間飛行の実現を目指しています
https://x.com/MLIT_JAPAN/status/1896395116342120773

<SkyDrive>
・4月12日「2025年日本国際博覧会 開会式」の「Parade of Global Harmony」に、SkyDriveが登場しました!数秒ではありますが、大変光栄です。とてもワクワクする素敵なパレード動画なので、ぜひご覧ください。
https://x.com/Skydrive_jp/status/1911596106410283417

<ソニーPCL>
・ソニーPCLは大阪・関西万博:展示施設「空飛ぶクルマステーション」内、JAL「そらクルーズ」にて、独自のイマーシブソリューションを提供しています
https://x.com/SonyPCL/status/1912815803294240931

■NewsPicksにおける反応

Xに比べ「大人」が集まりやすいNewsPicksでは、どのような反応がうかがえるのか。共同通信の「『空飛ぶクルマ』がデモ飛行 青空へ、垂直離陸7分間」の記事に寄せられた感想・意見の一部をピックアップしてみた。

一部Xと変わらない反応もあるが、やはり大人の意見が多い。呼称への疑問があっても、新語創造を提案するなど建設的だ。「万博で商用運航実現」というこれまでの目標・経緯を知っている方は、残念な気持ちを示しつつも今後への期待感を隠さない。

イノベーションや未来に対する受け止め方や価値観の違いが顕著に表れているようだ。

▼NewsPicksにおける反応
https://newspicks.com/news/14043565/?ref=search

■万博における空飛ぶクルマ

3陣営がデモフライトを計画

国は大阪・関西万博を空飛ぶクルマの商用運航を実現する重要なマイルストーンに位置付け、官民協働のもと研究開発を進めてきた。

当初計画では、ANAホールディングス×米Joby Aviation、日本航空×独Volocopter、丸紅×英Vertical Aerospace、SkyDriveの4陣営が会場内外で空飛ぶクルマの商用運航を実現するはずだった。

しかし、2024年9月までに4陣営すべてが商用運航を断念し、デモフライトに切り替えることが明らかとなった。

日本航空はeVTOL による航空運送事業を目的に2024年6月に住友商事と共同出資して合弁Soracleを設立し、同事業を新会社に承継した。また、使用機体もVolocopterから米Archer Aviationに変更するなど忙しく取り組みを進めていたが、最終的にデモフライトも諦めることとなり、Archerの実機サイズのモデル機体展示を行うこととした。

丸紅陣営が一般観覧向けのデモフライトを開始

万博では、4月9日開催のメディアデーでSkyDriveが「SD-05型」の公開フライトを行い、先陣を切った。SD-05型は、4月12日の開会式においても、パフォーマンスプログラムの万博パレード「Parade of Global Harmony」の中で登場し、ミャクミャクが機内に乗り込む様子が収められている。

一般観覧向けのデモフライトでは、丸紅が先陣を切った。米LIFT Aircraft製の「HEXA」が4月14日、会場に設置されたEXPO Vertiportから飛び立った。前日は天候不良のため中止となっていただけに、関係者はほっと胸をなでおろすことができたのではないだろうか。

デモフライトの運航スケジュールは各社にばらつきがある。丸紅は4月に9日間、5月が大型連休を中心に計5日間、6月上旬に5日間運航を予定している。7月下旬以降に森之宮での運航を予定しているほか、Vertical Aerospaceの「VA1-100」で10月に会場~尼崎フェニックス間の2地点間運航を行う計画だ。

SkyDriveは7月中旬から8月下旬にかけ、夢洲~中央突堤間の2地点間運航、または周回飛行を計画している。

ANA×Joby Aviationは9月下旬から10月13日までの間、・夢洲会場ポートを拠点に湾岸周辺エリアを飛行する予定としている。

期間中毎日運航しているわけではないので、一目見たい方は、随時アナウンスされる万博公式のお知らせをチェックしてほしい。運航拠点は、モビリティエクスペリエンス内の「EXPO Vertiport」となる。

▼空飛ぶクルマの運航予定日(4月13日~6月8日)|万博公式サイト
https://www.expo2025.or.jp/news/news-20250412-04/

出典:万博公式サイト(※クリックorタップすると拡大できます)

常設展示施設もお目見え

常設施設として「空飛ぶクルマ ステーション」も整備されている。空飛ぶクルマがある未来社会を体感できる展示施設で、映像・立体音響・床面振動を組み合わせた最新の没入体験が可能なイマーシブシアター
「SoraCruise(そらクルーズ)by Japan Airlines」や、空飛ぶクルマの専用離着陸場「バーティポート」紹介動画などの展示が行われるという。入館には予約が必要のため、注意が必要だ。

■【まとめ】万博で呼称募集するのも良案では?

万博でのフライトを断念したSoracleも、2026 年に大阪・関西エリアでの実証運航に着手するなど、万博後を見据えた取り組みを着実に進めている。万博はあくまで通過点であり、重要なのはその後の本格サービスだ。

万博においては、認知度向上や機運醸成が主な目的となるが、まずは呼称問題を何とかすべきではないだろうか。この際、「クルマじゃない」問題を真正面から受け止め、万博内のイベントとして新たな呼称を募集してはどうだろうか。

その方が大きな注目を集め、空飛ぶクルマ(仮)の認知度向上とともに負のイメージ払しょくも図ることができる気がする。

せっかくの一大イベントだ。デモフライト以外にも、あの手この手で機運醸成を図り温度を高めていってもらいたい。

【参考】万博×空飛ぶクルマについては「万博の空飛ぶクルマ、全陣営が「デモ飛行」すら断念か」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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