100円ショップのセリア(Seria)の看板を車のセンサー機能が誤認識する事例が、X(旧Twitter)などで投稿されている。
100の数字を「制限速度100キロ」の標識と誤って認識しているケースがあり、Xでは日産車やマツダ車のセンシング機能がそのように認識してしまった事例が投稿されている。
■Xに投稿された誤認識の事例
具体的なXの投稿は以下の通りだ。「コイツ100均の看板を道路標識と勘違いしてるwww」といった投稿だ。確かにセリアの看板にある100の数字を最高制限速度100キロの標識と誤認識しているようだ。
■キャンドゥの看板でも誤認識?
自動運転ラボでは先日、ローソンのフェアで掲げられていたラーメン店「天下一品」のロゴを、ホンダ車が「進入禁止」の標識と勘違いする記事を配信したが、その記事に対するコメントでは、ホンダ車が100円ショップのキャンドゥの看板を最高時速100キロの標識と誤認識したという投稿もあった。
キャンドゥの看板もデザインによっては、「100」の数字が看板内にある。
【参考】関連記事としては「天下一品のロゴ、ホンダ車が「進入禁止」と再び誤認識」も参照。
記事への反応としてはそのほかにも、「ほっともっと」の看板を「止まれ」の標識を間違える事例や、スズキ車がガソリンスタンドのENEOSの看板を「進入禁止」と誤認していた事例などの投稿もあった。
■「OTA」搭載車かどうか、という視点
このような誤認識は、画像解析の仕組みをアップデートしたり、よくある誤認識の事例をAI(人工知能)に事前に学習させたりすることで解消を目指すことができるが、一つ持っておきたい視点が、車両がOTA(Over The Air)に対応しているのかどうかだ。
OTAはテスラの電気自動車(EV)などに搭載されており、無線通信でデータを送受信する仕組みのことを指す。OTA機能が備わった自動車の場合、画像解析ソフトウェアの更新を無線で行うことも可能になってくる。
OTAの仕組みを使えば、看板の誤認識などの事例を解消するためのソフトウェアアップデートをOTAを通じていつでもできるようになる。一方、OTAが備わっていなければ、基本的にはその車両の誤認識は物理的にソフトウェアを変えない限り、永遠に続くことになる。
【参考】関連記事としては「Over The Air(OTA)技術とは?(2024年最新版)」も参照。
■自動運転車なら、もっと大きな問題に・・・
自動運転の「レベル2」(部分運転自動化)までは、標識の認識情報はあくまでドライバーへの「参考情報」として提供されるが、一定条件下でシステムが運転の主体となる「レベル3」(条件付き運転自動化)以上で、システムが誤認識した標識の情報に従ってAIが運転操作を行うと、事故につながる恐れがある。
自動運転化の際には当然、この精度の画像認識レベルで実装はされずに、正確さは上がると思われるが、自動運転化が進むにつれ、今後もっとこの誤認識の問題がクローズアップされることになりそうだ。
【参考】関連記事としては「自動運転とは?(2024年版) レベル別の実用化・開発状況・業界動向まとめ」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)