タクシー会社限定ライドシェア、UberとDiDi「裏方役」で苦渋の参入

海外のようにメインサービスを展開できず・・・



2024年4月からライドシェアがタクシー会社に限定して解禁される。タクシー会社以外はサービスを展開できない形で、ライドシェアの世界的大手企業であるUberやDiDiを実質的に締め出すような解禁と言える。


そんな中、UberとDiDiの日本法人がこの日本版ライドシェアに相次いで参入を発表した。実サービスは展開できないため、タクシー会社がライドシェアを展開するための支援や、乗客やドライバー向けのアプリ開発というように、「裏方役」に徹する。

本来であればライドシェアサービスそのもので参入したかったはずだ。今回の裏方役としての参入は、苦渋の決断と言えそうだ。

【参考】関連記事としては「ライドシェアとは?(2024年最新版) 仕組みや解禁時期は?」も参照。

■UberとDiDi、相次いで参入発表

Uber Japanは1月26日、日本版ライドシェアに参入することを発表した。アメリカで得た知見や最先端のテクノロジー、改良を重ねてきたさまざまな安全対策などを活用し、提携するタクシー会社がモビリティサービスを提供するための支援を行うという。


具体的なサービス内容などについては、国土交通省による今後の通達内容を踏まえ、提携各社と協議して決定する予定としている。

▼Uber Japan、「タクシー会社によるライドシェア」への参画を発表 提携タクシー会社と 4 月にサービス開始し、全国に展開
https://www.uber.com/ja-JP/newsroom/taxi-rideshare-2024/

一方でDiDiモビリティジャパンは、乗客向けのアプリの開発やドライバー向けアプリの開発、導入を検討しているタクシー事業者向けのプロダクト開発などの支援を開始することを決定した。

中国を含め世界15カ国でのサービス提供の経験を生かしながら、日本向けに最適なプロダクトの開発を進め、タクシー業界及び日本の交通課題の解決に貢献していくという。今後正式に発表されるガイドラインなどに沿って、必要とされる対応を順次展開していく。


▼タクシー事業者運行主体のライドシェア導入に向けた対応について
https://didimobility.co.jp/info/20240126/

■全面解禁後はタクシー会社の強力なライバルに?

UberもDiDiも、タクシー会社主体で行われるライドシェアの導入支援を行うことを強調している。ただし、この2社は海外でライドシェアサービスを本格展開中のいわゆる「プロ」であり、ライドシェアが日本で全面解禁されたら、タクシー会社の強力なライバルになり得る。

ちなみに、最初にライドシェアに参入を表明したのは、日本交通とDeNAが出資するモビリティテクノロジー企業であるGOだ。1月12日にタクシーアプリ「GO」での配車を含む日本型ライドシェアへの対応を決定したことを発表している。

具体的には、実際の導入に必要と想定される「ドライバー向けアプリの開発・提供」、「タクシー事業者・自治体向け管理システムの開発・提供」、「ドライブレコーダー等の機器類の提供」、「『ライドシェアドライバー』採用支援」の4つについて、順次準備を進めていくとしている。

【参考】関連記事としては「GO、タクシー会社の「ライドシェア運転手」採用を支援」も参照。

■部分的な解禁に賛否両論

今回のライドシェアの部分的な解禁には、賛否両論が巻き起こっている。

タクシー会社がドライバーを管理することによる安心感を評価する声もあるが、海外のようにギグワーカーとして一般人がライドシェアドライバーになれる仕組みが整わなければ、ライドシェアの担い手が増えていかないのでは・・・と指摘する意見も多い。

日本におけるライドシェア関連の動きに引き続き注目したい。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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