ライドシェア制度、OECD諸国の34%が今も未整備 日本を含む13カ国

Uber Japanが規制改革推進会議で報告

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OECD諸国38カ国のうち、日本を含む13カ国でライドシェア制度が未整備であることが、2023年12月22日までに分かった。パーセンテージにすると、未整備率は34%だ。

内閣府の規制改革推進会議の「第4回 地域産業活性化ワーキング・グループ」で、Uber Japanが報告した。

なおOECDとは、「Organisation for Economic Co-operation and Development」の略で、「経済協力開発機構」のことだ。ヨーロッパ諸国を中心に日・米を含めて38カ国の先進国が加盟する国際機関となっている。38カ国の内訳は、EU諸国22カ国・EU諸国以外16カ国だ。

ライドシェアを制度化している国と、未制度の国を詳しく見ていこう。

出典:規制改革推進会議(※クリックorタップすると拡大できます)
■PHV型とTNC型について

具体的な説明に入る前に、PHV型とTNC型について説明する。2023年11月に開催された「第1回 地域産業活性化ワーキング・グループ」においてUber Japanが提出した資料が参考になる。

▼諸外国におけるライドシェア法制と安全確保への取り組み|Uber Japan
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_05local/231106/local03_02.pdf

それによると、「PHV型ライドシェア法」は「個人タクシーの派生形であるPrivate Hire Vehicle(PHV)として位置付け、運転手に対して登録や車両・運行管理を義務付け」と説明されている。つまりPHV型は、個人タクシーの派生形のサービスと言える。

また「TNC型ライドシェア法」については、「Uber等プラットフォーム事業者をTransportation Network Company(TNC)と位置付け、TNCによる運転手管理や運行管理を義務付け」となっている。簡単に言えば、一般人がUberなどを通じてライドシェアのドライバーになるのがTNC型だ。

出典:内閣府

なおVTCとは「Voitures de Tourisme avec Chauffeur」の略で、タクシーに代わる「運転手付き観光車両」といった意味のハイヤーの制度のことだ。

【参考】関連記事としては「ライドシェアの法律・制度の世界動向(2023年最新版)」も参照。

■EU諸国22カ国における状況
ライドシェアを制度化:6カ国

OECDに加盟するEU諸国22カ国のうち、ライドシェアを制度化しているのは以下の6カ国だ。

ライドシェア同等のサービス提供が可能:8カ国

タクシー制度が十分に自由化され、ライドシェア同等のサービスが提供可能な国は8カ国ある。そのうち、「旅客運送にはタクシーライセンスが必要だが取得が簡単で、自家用車を利用可能。変動運賃制が認められている」のは、以下の5カ国となる。

それ以外の国は、以下のようになっている。

ライドシェア制度を未整備:8カ国

ライドシェア制度が未整備なのは、8カ国だ。そのうち、「PHV制度があるが、運賃制限などが厳格で日本のその他ハイヤーに近い」のは以下の2カ国となっている。

以下の6カ国では、タクシーのみが認められている。

■EU以外16カ国における状況
ライドシェアを制度化:10カ国

EU以外の16カ国でライドシェアを制度化しているのは、以下の10カ国だ。

ライドシェア同等のサービス提供が可能:1カ国

ノルウェーは、「旅客運送にはタクシーライセンスが必要。個人事業主としての稼働には、追加で事業者ライセンスが必要。自家用車を利用可能。変動運賃制が認められている」となっており、ライドシェアと同等のサービスが行われている。

ライドシェア未制度:5カ国

ライドシェア制度が未整備なのは、以下の5カ国で、タクシーのみの運用となっている。

■【まとめ】今後の日本の法整備・改正に注目

OECD加盟の38カ国を対象にしたライドシェア制度化状況をまとめると、ライドシェアを制度化しているのは16カ国、タクシー制度が十分に自由化されライドシェア同等のサービスが提供可能なのは9カ国、ライドシェアが未制度化なのは日本を含む13カ国となる。

この状況で、日本がどう法整備・改正を行っていくか、今後の行方に注目したい。なお、Uber Japanによる「OECD諸国におけるライドシェア制度化状況」の資料は、下記から参照できる。

※自動運転ラボの資料解説記事は「タグ:資料解説|自動運転ラボ」でまとめて発信しています。

▼OECD諸国におけるライドシェア制度化状況
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2310_05local/231212/local_ref07.pdf

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)



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