ドイツ自動車大手のBMWグループが2023年12月17日までに、上海の高速道路上でレベル3(条件付運転自動化)の自動運転車を試験走行するための認可を、中国当局から得たことが明らかになった。
現時点で自動運転レベル3の機能を市販車で展開しているのは、ホンダとメルセデスのみだ。2024年3月にはBMWもドイツ本国でレベル3を市販車で展開する予定で、中国での商用展開にも目処がつけば、自動運転事業のマネタイズに向けて追い風が吹くことになる。
■中国政府の政策も背景に
BMWグループは中国で公道テストの認可をすでに受けており、60人以上のエンジニアで構成される研究開発チームを上海で立ち上げ、レベル3関連の開発・実証を繰り返し行ってきた経緯がある。
一方、今回の認可に関しては、中国政府の政策も背景にあると考えられる。中国当局は最近、公共交通機関などでの自動運転車の使用する際の安全ガイドラインも発行するなど、自動運転技術の社会実装に向けた動きを加速させているように見える。
■主要メーカーで「中国初」に?
冒頭でも触れたが、BMWグループは自動運転レベル3機能である「Personal Pilot L3」を搭載した「7シリーズ」を2024年3月にドイツ本国限定で発売することを発表したばかりだ。
実現すれば世界3番目の快挙となるが、中国ではまだホンダもメルセデスもレベル3を市販車で展開しておらず、BMWが中国国内では2社を出し抜く可能性がある。
ちなみに自動運転レベル3は、ドライバーは一時的に道路から注意をはずし、ハンドルから手を離すことが可能だ。Personal Pilot L3は、高速道路の走行中に車のスピードを自動的に制御し、車間距離の維持や走行車線の維持が可能なシステムで、搭載センサーは暗い場所でも十分に機能を発揮できることも特筆すべき点となっている。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル3とは?(2023年最新版)」も参照。
■BMWのプレゼンスが一気に増すか
BWWは、中国の法律・規制に準拠してレベル3の展開を進めていくことを強調している。中国の自動運転分野においてBMWのプレゼンスが一気に増すか、注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転レベル3機能、「世界3番目」はBMW濃厚 来年3月から提供」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)