電動キックボードはナンバー・ヘルメットは必要・不要?

種類によって交通ルールが異なる?



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出典:国民生活センター公式サイト

改正道路交通法の施行により、新ルールでの運用がスタートした電動キックボード。若い世代を中心に利用が拡大し、サービス提供エリアも徐々に広がりを見せている。

ただ、走行ルールなどが浸透していないため危険性を指摘する声も大きく、傍観している人がまだまだ多いのが実情だ。正しい理解のもと安全な走行を心がければ、利便性にあふれる新モビリティとして普及が加速するのではないだろうか。


そこで今回は、電動キックボードに関するさまざまな疑問と回答をQ&A形式で紹介していく。たとえばナンバーやヘルメットは必要なのだろうか。それとも不要なのだろうか。こうした疑問に回答していこう。

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■電動キックボードに関するよくある質問

そもそも電動キックボードって?

バッテリーとモーターを搭載し、電動で走行することができるパーソナルモビリティの一種。大半は道路交通法上の原動機付自転車、いわゆる原付に該当する。電動スクーターの仲間のようなものだ。

2023年7月施行の改正道路交通法により、速度や車体サイズなど一定の基準を満たすものは新たに「特定小型原動機付自転車(以下特定小型原付)」と定義され、一般原動機付自転車(以下一般原付)と区別することとなった。


特定小型原付は、運転免許なし、ヘルメット着用なし(努力義務)など一般原付よりも気軽に乗車することができる。

また、最高速度表示灯を備え、これを点滅させている間は時速6キロ超の速度を出すことができないシステムを搭載したものは「特例特定小型原動機付自転車(以下特例原付)」となり、車道とは別に歩道を走行することもできる。

現在実用化が進められている多くの電動キックボードは特例原付だが、特定小型原付や一般原付も少なくないため、その区別に注意が必要だ。

電動キックボード(定格出力0.6kW以下)に必要な主な保安装置(10種類)=出典:国民生活センター公式サイト

1回の充電でどのくらい走行できる?

モデルによるが、1回の充電でおおむね30~100キロ走行できるものが多い。家庭用電源で充電可能で、モデルによってはバッテリーを取り外して持ち運んだり交換したりすることが可能なものもある。


電動キックボードの運転に免許は必要?

電動キックボードのうち、一般原付に該当するものは従来通り原付機自動車免許が必要となるが、特定小型原付や特例原付は免許は不要となる。ただし、いずれも16歳以上でなければ乗車することができない。

電動キックボードはヘルメット不要?

電動キックボードのうち、一般原付に該当するものはヘルメットの着用が義務付けられており、違反すれば交通違反点数1点が加点される(反則金はなし)が、特定小型原付や特例原付はヘルメットの着用は自転車同等の努力義務とされており、ノーヘルでも処分や注意を受けることはない。

ただし、転倒など万が一の際を考慮し、安全性を重視する観点から着用が推奨されている。

出典:国民生活センター公式サイト

歩道は走れる?

特例原付であれば、「普通自転車等及び歩行者等専用」など道路標識によって歩道を通行できることとされている場所で歩道を走行することができる。通常の時速20キロモードと明確に切り替える形で、最高時速6キロで最高速度表示灯を点滅させながら走行する機能を備えていることが条件となる。

また、歩道の中央から車道寄りの部分、または普通自転車通行指定部分を通行しなければならず、歩道走行時は歩行者が優先される。

なお、平時は車道と歩道・路側帯の区別があるところでは車道を通行しなければならない。自転車道も通行することができるが、左側通行が絶対原則で、右側を通行した場合逆走となる。

最高時速は?

一般原付に該当するものは従来通り時速30キロが上限となるが、特定小型原付は時速20キロが上限となる。特例原付で歩道を走行する場合は、時速6キロを超えてはならない。

保安基準を満たす多くの機種は、指定の最高速度を超えて走行できないようしっかりと制御されている。

電動キックボードはナンバーは不要?

個人で購入した電動キックボードで公道を走行する際は、自治体の条例などの定めるところに従い、標識(ナンバープレート)を取得して車体の見やすいところに取り付ける必要がある。免許は不要だが、ナンバーは必須なのだ。

手続きは自治体により若干異なるが、おおむね申請書と本人確認書類、印鑑、購入した場合は販売証明書、譲ってもらった場合は譲渡証明書などを持参し、自治体の窓口で申請する。ナンバープレートの交付は無料だ。

出典:警察庁

税金はかかるの?

電動キックボードも従来の原付同様、軽自動車税が課せられる。年額2,000円で、2024年4月以降に必要となる。

同様に、自賠責保険(共済)への加入も義務付けられている。2023年3月までは従来の原付の保険料が適用されるが、それ以降、特定小型原付用の新たな区分が設けられ、別途新しい保険料が適用されることとなっている。

なお、従来の原付の場合自賠責は1年約7,000円かかるが、保険期間5年(60カ月)をまとめて払うと約1万3,000円と割安となる。

初めての人でも乗れる?

基本的には誰でも乗ることができる仕様になっているが、心配な人は行政やサービス事業者が実施する体験会や講習会などへの参加をおすすめする。慣れるまで、安全を確保できる場所で練習するのも良いだろう。

操作は至ってシンプルで、ハンドル付近に備えられたアクセルレバーや前後輪のブレーキレバーで速度を調整し、ハンドルと身体でバランスを取りながら走行する。

タイヤの口径が小さいため、排水溝の段差や路肩の縁石など、段差・障害物には注意が必要だ。

また、高齢者などをターゲットに据えた座れるモデルなども登場している。今後、より乗りやすいモデルの開発・実用化が進む可能性が高い。

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雨の中でも大丈夫?

防水仕様の機体が多く、降雨の中でも走れるモデルが多いが推奨はされていない。電装系への影響もあるが、タイヤのグリップ力が弱く、ブレーキの効きも悪くなるため濡れた路面を走行する際は要注意となる。

電車やバスに持ち込めるの?

電車の場合持ち運び用の袋・ケースに入っていれば大概OKのようだ。一方、バスは事業者による判断がまちまちで、明確に禁止している場合も少なくないようだ。

飛行機については、リチウムイオンバッテリーを原動力とするモデルは機内持ち込みも預けることも基本的に不可となっているようだ。

日常的なメンテナンスは?

警察庁は、主な点検項目として「ブレーキの遊びや効きは十分か」「車輪にガタやゆがみはないか」「タイヤの空気圧は適正か」「ハンドルが重くないか、ワイヤーが引っ掛かっていないか、ガタはないか」「灯火はすべて正常に働くか」――を挙げている。

自転車に近い感覚で気軽に乗れるモビリティだが、道路運送車両法に定められた基準などに適合しない機体を運転してはならず、定期的なメンテナンスをしっかり行う必要がある。

交通違反にはどのようなものがある?

電動キックボードの走行において特に気を付けるべき交通違反は、通行区分違反や信号無視、歩道徐行等義務違反、路側帯進行方法違反、指定場所一時不停止、酒気帯び運転、携帯電話使用などが挙げられる。

自転車で横行する歩道の走行や逆走などは、その危険性から電動キックボードではより厳しく取り締まられることになる。交通ルールは絶対に守りたいところだ。

なお、安全確保を目的に、違反行為を繰り返す人を対象とした「特定小型原動機付自転車運転者講習制度」も設けられた。信号無視など17項目にわたる違反行為を3年以内に2度犯した人は、安全運転に関する講習を受けなければならない制度だ。

【参考】電動キックボードについては「電動キックボードに免許は必要?公道走行は可能?法律最新情報」も参照。

■電動キックボードのシェアサービスに関するよくある質問

シェアサービスの利用方法は?

電動キックボードのシェアサービスを利用するには、主に事前準備として以下が必要になる。

  • ①アプリのダウンロード
  • ②交通ルールテストをクリア
  • ③本人確認(年齢確認)やクレジットカードなどの登録

特定小型原付は免許が不要ながら交通ルールの厳格な順守が求められるため、一定レベル以上の知識習得を前提にサービスを提供するためテストを実施する。また、16歳以上であることを確認するための本人確認も必須となる。多くの場合、スマートフォンで撮影した身分証などの画像データを用いるため、手間や時間はかからない。

利用時は、まずアプリを開いて最寄りのポートを見つける。ポートとは、電動キックボードが駐車されているステーションのことだ。ポートに停められている電動キックボードは電子ロックされているため、スマートフォンでQRコードやID入力などの方法でロックを解除する。サービス事業者によっては、事前に電動キックボードを返却するポートを設定することもできるようだ。

利用後は、所定のポートに返却する。料金は、クレジットカードなど事前に設定した方法でキャッシュレス決済される。

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出典:Luupプレスリリース

シェアサービスの利用料金は?

事業者や走行エリアにより異なる。「最初の~分~円、以降~分ごとに~円」といった課金形式が多い。相場としては1時間400円~1,000円あたりとなる。1分10円など細かい課金設定も多く、チョイ乗りに便利だ。

また、4時間プランや1日プランの設定や、サブスクリプション導入を図る動きなどもある。

シェアサービスはすべて特例原付?

シェアサービスの電動キックボードはすべて車道・歩道両方を走行可能な特例原付に思われがちだが、サービス事業者によって異なるので注意が必要だ。

主流は特例原付だが、中には歩道走行不可の特定小型原付や、免許の保持・ヘルメット着用必須の一般原付のシェアサービスもある。

登録時、どういったタイプの電動キックボードなのかしっかりと確認しておこう。

借りた場所に返さないとダメ?

多くの場合、同一エリアに複数のポートが設置されており、別のポートへの返却も可能としている。ただし、返却しようと思ったポートが満車状態の場合など、必ずしも返却できるとは限らない。

事故を起こしたときはどうするの?

負傷者が発生している場合や自動車など周囲のモノを破損させた場合などは、まず警察や消防などに連絡することが必要だ。余裕ができた段階でサービス事業者にも連絡する。

軽微な単独事故などで車体が破損した場合などは、速やかにサービス事業者に連絡し、対応を求めよう。

【参考】電動キックボードのシェアサービスについては「電動キックボードのおすすめシェアサービス・メーカーは?(2023年最新版)」も参照。

■【まとめ】3種類の区別が第一のポイントに

一口に「電動キックボード」と言っても、一般原付や特定小型原付、特例原付の種別に分かれており、それぞれで交通ルールなどの取り扱いが異なることが一番のポイントだ。

この3種の混同が理解を阻んでいる側面が否定できないように思う。3種が今後も共存していくならば、例えば特定小型原付は原付一型、特例原付は原付二型……といった感じで、名称を工夫してもう少し区別しやすくしたほうが良いのではないだろうか。

理解が広がり、電動キックボードが安全な乗り物として市民権を得る時代はいつごろ到来するのか。要注目だ。

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【参考】関連記事としては「電動キックボードの事故・違反状況」も参照。


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