目撃談相次ぐ!自動運転バス、Xboxのコントローラーで手動操作!?

果たして真実?……調べてみた



出典:ソフトバンクニュース

家庭用ゲーム機「Xbox」のコントローラーが、自動運転バスの手動操作に使われている──。こうした目撃談が、SNSなどで話題になっている。果たして本当なのか。情報はフェイクなのか。

■調べた結果……「真実」!

その目撃談はまさに真実だ。仏Navyaが開発する自動運転バス「ARMA」では、Xboxのコントローラーが手動操作のための端末として採用されている。ARMAは茨城県境町などで定常運行している。


 

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日本国内では、ソフトバンク子会社で国内各地で自動運転バスの実証を進めるBOLDLYが、ARMAの社会実装を手掛けている。現在、茨城県境町のほか羽田イノベーションシティ、北海層上士幌町、愛知県日進市で毎日運行している。

ソフトバンクニュースでも以下のように、Xboxのコントローラーの画像が紹介されている。

出典:ソフトバンクニュース
■「ARMA」とはどんな車両?

ARMAは自動運転レベル4で走行することを前提に設計された車両で、ハンドルがないのが特徴となっている。SLAMやRTK-GPSという技術により自己位置を推定し、2D-LiDARと3D-LiDARにより障害物を検知しながら走行する。乗車人数は、私道走行の場合15人、公道走行の場合11人となっている。


当初、ARMAは道路運送車両の保安基準上、公道走行はできなかった。そのためBOLDLYが車両を改造し、ハンドルがない自動運転車としては日本で初めて、国土交通省関東運輸局長から道路運送車両の保安基準第55条による基準緩和認定を受け、2019年6月に車両の新規登録(ナンバープレートの取得)を行った。これにより、ARMAは日本の公道での運行が可能になった。

境町では2020年11月からARMAの定常運行を開始しており、自動運転バスを実用化した初の自治体となった。2023年11月3日時点での累計走行便数は17,244便、累計乗車人数21,553人を達成している。

出典:BOLDLYプレスリリース
■「コントローラーを使って手動操作されます」

ソフトバンクの公式サイトで、境町でのBOLDLYの取り組みについて紹介されている。それによると「境町で運行している自動運転バスは、ドライバーの監視が必要とされるレベル2に当たりますが、実際にはほとんど自動運転で走行しており、手動操作となるのは現在3割程度です。」との記載がある。

手動操作の内容については、「信号のある交差点を通過したり路上駐車を回避したりする際には、BOLDLYによるトレーニングを受けた車内のオペレーターが、必要な判断を行っています。走行速度は時速20km未満で、路線バスの運転手ほどの資格は必要ないため運転のハードルが低いとされ、ドライバー不足の解決策としても期待されています」と説明されている。

そして「コントローラーを使って手動操作されます」との一文とともに、前述のXboxのコントローラーの写真も掲載されている。写真を見る限りでは、市販されているものと同様の製品のようだ。

▼自動運転バスやドローンの活用で交通・物流のスマート化へ。河野デジタル大臣が茨城県境町を視察|ソフトバンクニュース
https://www.softbank.jp/sbnews/entry/20221020_01

■オペレーター育成にも一役!?

BOLDLYは、同社が育成したARMAの車両オペレーターが累計110人を突破したことを2022年8月に発表した。オペレーター資格取得者の業種は、バス事業22.3%、バス事業外77.7%となっており、さまざまな業界の出身者が自動運転バスの担い手になれることを強調している。

なお境町では、地元の若者や女性、他業種のリタイア人材などを含めて、年齢や性別、職歴を問わず幅広い人々がオペレーターとして活躍しているという。

自動運転バスのオペレーターと聞くと、高度な特殊技術が必要だと感じてしまう。しかし、ゲーム機のコントローラーを使うなら、「自分でも大丈夫かも」と挑戦のハードルを下げる心理的効果もありそう?!

【参考】関連記事としては「自動運転バスのARMA、BOLDLYがオペレーター110人育成」も参照。

【参考】関連記事としては「NAVYA社の自動運転バス「ARMA」、誰でも操作できる?」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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