「いまもう非常に快適」「全く問題なく」──。デジタル大臣の河野太郎氏がこのほど体験してご満悦となった移動サービスがある。「やぶくる」だ。その名称だけではどんなサービスなのか想像がつかないかもしれないが、5年前から展開されているライドシェアサービスだ。
■兵庫県養父市が展開
このライドシェアサービスは、兵庫県養父市が「国家戦略特区制度」を活用して展開している。
兵庫県養父市にて。自家用有償旅客運送事業「やぶくる」と企業による農地取得の特例を視察しました。 pic.twitter.com/bCBhBSPUsD
— 河野太郎 (@konotarogomame) November 4, 2023
やぶくるの公式サイトでは「地域のみなさんがドライバーとなり、マイカーで市民や観光客のみなさんの移動をお手伝いします」と説明されており、「マイカー運送サービス」という表現も使われている。
利用者は、タクシー会社に電話で配車を手配する形でサービスを利用する。その後、タクシー会社は登録ドライバーに連絡し、連絡を受けた登録ドライバーが利用者を迎えにいき、目的地まで送り届ける流れとなる。ここでいう登録ドライバーは地域住民だ。
やぶくるは毎日日中に運行されており、初乗り2キロまでは600円、以後は750メートルごとに100円を基準として料金が加算されていく。ドライバーの報酬は利用料金の7割となっている。
▼やぶくる | 養父市マイカー運送
https://yabu-mycar-unsounet.com/
■「いやもう非常に快適でした」
河野大臣はやぶくるに試乗し、乗った感想として「いやもう非常に快適でした」、安心感を感じるかどうかについては「全く問題なく」と語り、改めてライドシェアの有用性を実感したようだった。視察後には「全国の交通空白地にも参考にしていただけると思う」とも述べている。
河野大臣は日本の政治家の中でライドシェア解禁派の急先鋒だ。2023年8月には、地域ごとにライドシェアを自動解禁していく独自案を明かしている。9月の大臣会見ではタクシー不足の課題に言及し、「ライドシェアといわれる仕組みを取り入れていく」と明確に述べている。
【参考】関連記事としては「ライドシェア解禁、河野太郎氏にタクシー業界が激怒!「断固阻止」を決議」も参照。
ただし、仮に解禁されたとしても、各都道府県は現時点ではライドシェア導入に積極的な姿勢を示していないことから、河野大臣の青写真通りにライドシェアが普及しない可能性がある。共同通信の調べによると、ライドシェアの導入を検討している都道府県は、神奈川県と大阪府だけだった。
■ライドシェア解禁ムードは盛り上がる?
新形態のサービスが広く利用されていくには、国民に安全性や快適性のイメージを抱いてもらうことがポイントとなる。そういう意味でも、政治家自らがライドシェアを体験し、ポジティブな感想を口にすることは普及の助けになっていく。
ライドシェアに関しては賛否両論あるが、X(旧Twitter)で263万人のフォロワーを有する河野氏の言動により国民のイメージがどう変わっていくのか、注目だ。
【参考】関連記事としては「ライドシェアとは?解禁時期は?(2023年最新版)」も参照。