エアモビリティ開発を手掛ける米Doroni Aerospace(ドロニ・エアロスペース)は、同社の空飛ぶクルマ(eVTOL:電動垂直離着陸機)がすでに300機以上の予約注文を受けており、2024年末に市場投入し、2025年の納入を予定していることをこのほど明かしている。
■イスラエル空軍の退役軍人が創業
Doroni Aerospaceは、イスラエル空軍情報部を退役したDoron Merdinger氏により2016年に設立された。幹部には、ボーイング社などで30年以上の経験を持つエンジニアやバッテリー駆動車の世界的専門家、イスラエル国防軍に在籍していたメンバーらが名を連ねている。
同社のミッションは「安全で手頃な価格、操縦しやすく環境に優しい航空機を、未来的なデザインで提供する」で、フロリダ州マイアミを拠点に、誰もが操縦でき、自宅のガレージにも駐機できるようなeVTOL開発を行っている。
■自宅ガレージから飛び立つ!?
Doroniが開発した「H1」は2人乗りのパーソナルeVTOLで、自宅ガレージから車道へ出て、そのまま飛び立つことができるという。機体サイズは、長さ7m×幅4.6m×高さ1.7m、重量は750キロで、最大積載量は227キロ。最高時速は225キロで、一度の充電での航続距離は約100キロ、航続時間は60分となっている。充電にかかる時間は15〜20分のようだ。
同社CEO(最高経営責任者)のMerdinger氏は「最初に振動のようなものを感じるが、その後は安定し始めソフトに飛行する。私は空軍でヘリコプターに乗っていたが、これほどの乗り心地の良さはなかった」と語っており、同社のeVTOLの乗り心地に自信を見せている。
■300機120億円以上の見込み売上獲得か
H1の機体価格は、25万〜30万ドル(約3,500〜4,200万円)のようだ。すべての予約注文を正規価格で受けているわけではないと思うが、単純計算で仮に1機4,000万円で受注しているとすると、300機以上の予約注文を受けていることから、120億円以上の見込み売上を獲得していることになる。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマの価格・値段(2023年最新版)」も参照。
またH1はガレージに駐機できるようなサイズであることから、個人がより保有しやすい空飛ぶクルマと言えそうだ。Merdinger氏は「空飛ぶクルマは未来のものではなく、現在すでに存在している」と語っており、エアモビリティが行き交う風景がそこまで来ているということを感じさせる。
▼Doroni Aerospace公式サイト
https://www.doroni.io/
【参考】関連記事としては「eVTOLとは?「空飛ぶクルマ」の類型の一つ、開発盛んに」も参照。