ホンダの研究開発子会社である本田技術研究所とソフトバンクは2023年3月28日までに、中日本高速道路=NEXCO中日本=が新東名高速道路の建設中区間で実施する「高速道路の自動運転時代に向けた路車協調実証実験」に参画することを発表した。
今回両社が行う実証では、道路に設置される路側センサーにおいて、非コネクテッド車両を含む走行車両の位置や速度などの情報を道路管制センターに送信し、走行するコネクテッド車両の情報をセルラー通信でリアルタイムに収集して、情報連携プラットフォームへ送信する。
これらの情報を統合して情報連携プラットフォーム上で衝突リスクを解析・判定し、急な車線変更や周辺車両の状況などの予測されるリスク情報を、周辺のコネクテッド車両に通知する。これによってリスク回避の行動を促すという。
■ホンダとソフトバンクが提案したユースケースは?
「高速道路の自動運転時代に向けた路車協調実証実験」では、自動運転車を含むコネクテッド車と非コネクテッド車の混在状態を想定し、路車間通信技術などを活用した高速道路の高度化メニューとして、以下の10のユースケースの実証を行う。
- ユースケース1:路上障害情報の後続車への提供
- ユースケース2:路面状況や走行環境に応じた最適な速度情報等の提供
- ユースケース3:車載センサ等を活用した維持管理情報や運行支援情報等の収集・提供
- ユースケース4:コネクテッド車の緊急停止時における遠隔監視、操作
- ユースケース5:交通状況に応じた情報提供による高速道路ネットワークの最適化
- ユースケース6:交通状況に応じた車群制御情報の提供による交通容量の最大活用
- ユースケース7:目的地別の追随走行支援
- ユースケース8:風除け走行先行車適正診断
- ユースケース9:休憩施設内オンデマンド自動運転サービスを想定した駐車スペースの利用効率向上
- ユースケース10:車両とインフラ間の情報連携による情報収集・提供の強化
1〜7はNEXCO中日本から提案したもので、8〜10は応募者から提案があったもので、ホンダとソフトバンクが提案したのはユースケース10に該当する。すなわち「車両とインフラ間の情報連携による情報収集・提供の強化」だ。
いずれのユースケースも、将来のサービス運用を見据えた検証を行うもので、検証後すぐに実運用を行うものではないとしている。
実証期間は2023年度の1カ月間を想定しており、実証区間は新東名の新秦野IC~新御殿場ICのうち、静岡県内の一部の区間を予定しているようだ。
■路車協調システムで安心・安全な移動を
人手不足が加速する日本。物流業界では高速道路に自動運転時代が訪れることを期待する声が多い。路車協調システムによりリスクを予測・回避して安全な移動を実現する両社の取り組み。ほか9件の取り組みにも同時に注目していきたい。
【参考】関連記事としては「「先読み情報」を自動運転車へ配信!三菱重工らが実証実施へ」も参照。