映画の中だけの世界だと思われていた空飛ぶクルマの開発が世界的に進んでおり、空飛ぶクルマを開発している注目の日本ベンチャー企業もある。この記事では、空飛ぶクルマについて押さえておきたい基礎知識を紹介した上で、主な開発ベンチャーを2社取り上げる。
記事の目次
■そもそも空飛ぶクルマって?
一般的に「空飛ぶクルマ」と呼ばれるものに明確な定義はなく、「電動かつ自動で垂直に離着陸する移動手段」を指すことが多い。ドローンに乗車できるようにしたものや、EV(電気自動車)ベースにプロペラや自動制御システムを備えたものを指す場合もある。
「道路を走行しないのになぜクルマ?」という疑問を持つ人もいるかもしれないが、「個人が日常の移動のために利用するもの」という意味が「クルマ」という呼び方に込められていると考えれば、割と自然な呼称とも言えなくもない。
また、垂直離着陸機という意味の「VTOL」(Vertical Take-Off and Landing aircraft)や、電動タイプの「eVTOL」などという呼ばれ方をすることもある。
英語では、「Skycar(スカイカー)」「Aircar(エアカー)」「Urban Air Mobility(アーバン・エア・モビリティ)」「Personal Air Vehicle(パーソナル・エア・ビークル)」「Flying cars(フライング・カーズ)」などとも呼ばれている。
日本では、国が「空の移動革命に向けたロードマップ」を掲げ、2020年代半ばの実現を目指している。まずはモノの移動から始め、その後地方での人の移動、都市での人の移動に活用していく方針だ。
ちなみに大阪府は、2025年の大阪・関西万博で空飛ぶタクシーの導入実現を目指すために動いている。
■空飛ぶクルマを開発する主な日の丸ベンチャー
続いて日本で空飛ぶクルマを開発する主なベンチャーを2社紹介しよう。
SkyDrive:2018年に設立、型式証明を申請済み
国内の有力ベンチャーの1つが、SkyDriveだ。同社は「100年に一度のモビリティ革命を牽引する」というミッションのもと、有志団体CARTIVATOR(現Dream-On Management)から派生して2018年に設立された。
同社は2020年8月に国内初の空飛ぶクルマの4分間の公開有人飛行を成功させている。2025年の大阪・関西万博でのエアタクシーサービス実現を目指しており、2021年10月には日本初の空飛ぶクルマの型式証明申請が国土交通省に受理された。また2023年1月には、米国市場へ参入することを発表している。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマ企業SkyDrive、米国参入!2026年運航開始へ」も参照。
テトラ・アビエーション:東大発のスタートアップ
東大発のスタートアップであるテトラ・アビエーションは、パーソナルフライングマシーンの開発を競う国際大会「GoFly」に出場し、2018年6月のフェーズ1で世界トップ10入り、2019年3月のフェーズ2も突破し、最終選考に進んだ。2020年2月の最終⾶⾏審査では、プラット・アンド・ホイットニー・ディスラプター賞を獲得した。
メインスポンサーのボーイング社が選定する各賞は該当チームがなかったため、テトラが唯一の受賞者という快挙を成し遂げた。
2020年8月にはJAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同研究を開始することも発表している。2022年6月には、新たに計4億5,000万円の資金調達を完了したことを発表しており、国内外から人材の採用を進めていくとしている。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマ開発のテトラ、4.5億円新規調達!人材強化へ」も参照。
■もはや未来の話ではない
国内外から注目を集める日本のベンチャーが奮闘している空飛ぶクルマ開発。もはや未来の話ではなく、実現は間近に迫っている。引き続き空飛ぶクルマに注目だ。
【参考】関連記事としては「空飛ぶクルマとは(2023年最新版)」も参照。