いすゞ自動車グループのUDトラックスと神戸製鋼所はこのほど、大型トラックを用いた自動運転レベル4の実証実験を実施したことを発表した。2022年8〜10月に行ったという。
神戸製鋼加古川製鉄所において、レベル4の自動運転技術を搭載したUDトラックス開発の大型トラック「クオン」を用いて行ったもので、自動運転車両が正確にルートを走行することを実証したほか、一連のオペレーションの自動化も実現したという。
■自動運転トラックのレベル4実証
今回の実証は、物流を含むプロセス制御自動化・効率化によるものづくり力向上を推進する神戸製鋼と、自動運転技術を通して持続可能な物流を目指すUDトラックスがタッグを組み、早期の社会実装を目指すために行った。
なおレベル4限定領域自動運転対応車両については、プレスリリースにおいては「特定の走行環境・条件(ODD)の中で認知、判断、操作の運転操作をシステムが完全に実施する車両で、SAE J3016『運転自動化レベル』の国際標準に準拠している」と説明されており、その上で「安全対策を万全とするため、実証実験中は実験ルート内の人流を遮断・封鎖する。また実験は車両に安全監視ドライバーが搭乗し、不測の事態に対する有人緊急操縦態勢を確保した上で実施し、万が一のリスクに備えている」としている。
【参考】関連記事としては「自動運転レベルとは?(2023年最新版)」も参照。
■Sensible 4の自動運転システム搭載
実証では、フィンランドのスタートアップ「Sensible 4」の自動運転システムが搭載された大型トラック1台に約17トンのスラグ(鉱滓)を積み、水砕スラグの運搬コースの一部のルートにて、複数の異なる地点を自動搬送した。
実証の目標は、実際のオペレーション環境のもとで自動運転技術を正確に運用し、センサー類のロバスト(堅牢)性や自動運転および車両システムの信頼性を確認することであった。その結果、水たまりや段差、ぬかるみなどのある不整地や、雨や霧などの天候下でも自動運転システムが正しく作動することが確認されたという。
また不整地での走行においても、電子制御ステアリング「UDアクティブステアリング」により高精度かつ安定した走行を実現し、衛星からの信号が遮断されやすい環境においても、GNSS-RTKと3D-LiDARを用いた測位とナビゲーションに従い、記録した経路を車両が正確に走行した。
■製造現場における重要な課題に挑戦
今回の実証では、ホイールローダーで積み込まれたスラグが、オペレーターの指示を受け、あらかじめ登録されたスラグ投入口へ自動搬送され、荷下ろし場では新明和工業提供の自動ダンプ機能により、スラグが投入口に流し込まれるという、一連のオペレーションの自動化も実現された。
UDトラックスと神戸製鋼所は、自動運転技術による製造現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や生産の効率化、人手不足などの課題解決を目指すとしている。いずれも製造現場において重要な課題であるだけに、両社の取り組みには注目だ。
【参考】関連記事としては「自動運転トラックの開発企業・メーカー一覧」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)