自動運転業界のスタートアップ企業と言えば、アメリカや中国、日本、韓国、イスラエルなど、こうした国の新興企業がクローズアップされることが多い。一方、そのほかの国にもこの業界へ参入しているスタートアップは当然ある。例えばスイスだ。
2021年設立のスイスのテック系ベンチャー企業「LOXO」(ロクソ)はこのほど、ラストマイル用の自動運転デリバリー専用車を発表した。発表によれば、2023年春にはこの車両の先行販売が開始され、スイス国内の公道で運用が開始される予定だという。
ちなみに、ドイツやイギリスでの展開も計画しているようだ。
■「ADaaS」を打ち出しているLOXO
LOXOは独自のコンセプトを打ち出している。それが「ADaaS」、「Autonomous Delivery as a Service」(サービスとしての自動運転デリバリー)を略したワードだ。つまり、車両の開発・製造というより、自動運転配送サービスの展開に力を入れていく、ということだろう。
今回発表された車両は、EC(電子商取引)におけるプロダクトのエンドユーザーや企業顧客への配送や、物品の配送拠点から配送拠点(Hub to Hub)への輸送などを活用されることを想定しているという。
車両は、保守・点検・ソフトウェアがセットで展開される予定で、車両に関してはレーダーやLiDAR、ソナーなどの組み合わせによって、360度の視野で最大限の安全性を実現しているという。
車両が自動運転中は遠隔から常に監視が行われる。同社の幹部であるClaudio Panizza氏は「必要であれば、いつでも介入することができる」と語っている。
■「自動運転シャトル」の印象が強い欧州勢
欧州は、「自動運転シャトル」の開発で世界をリードしている印象だ。フランス企業のNavyaやEasyMileがそれぞれ自動運転シャトルを開発している。
一方で欧州に関しては、アメリカのNuroのようなラストワンマイル向けの自動運転配送車の開発では、あまり目立った動きが報じられてこなかった。
このような状況の中で、LOXOの自動運転配送車が発表され、同社は「the first commercial application of an autonomous last mile delivery vehicle in Switzerland and presumably in all of Europe」(スイス、そしておそらくヨーロッパ全域における、ラストワンマイルの自律走行型配送車両の初めて商業利用)と自信を見せる。
LOXOが米Nuroのように世界から注目される企業に成長するのか、注目だ。
【参考】関連記事としては「ついにUber Eatsが自動運転配送!配送車開発のNuroと契約」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)