日米欧中を中心に世界中で実用化が進む自動運転。自動運転レベル3(条件付自動運転)や、レベル4(高度自動運転)の実証実験も次々行われている。そして、2030年にはレベル3以上のシステムが搭載された車が世界で700万台になるとの調査結果が出ている。
■2021年のADAS・自動運転搭載率は49.7%
民間調査会社の株式会社矢野経済研究所(本社:東京都中野区/代表取締役社長:水越孝)が行った「ADAS/自動運転システムの世界市場規模予測」によると、世界の新車におけるADAS(先進運転支援システム)・自動運転システムの搭載台数は、2030年までに7,915万3,000台になるという。
調査によると、2021年のADAS・自動運転システムの搭載台数実績は、世界で前年比17.5%増の4,097万6,019台となった。また、2021年の新車販売台数におけるADAS・自動運転システムの搭載率は49.7%で、2020年の44.3%から5.4ポイント上昇した。
なお、2021年におけるレベル3の搭載台数は100台で、これはホンダが世界で初めてレベル3搭載車を実用化した新型「レジェンド」のことを指す。「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」を備えたレベル3自動運転システム「Honda SENSING Elite」を搭載し、2021年3月に100台限定でリース販売が行われた。
■レベル3搭載車の今後の見通しは?
レベル3搭載車の今後の見通しとしては、2022年に8,000台、2023年に7万7,468台、2024年に19万5,540台、2025年に40万4,940台と順調に増加し、2030年には625万2,500台まで成長するとみられている。また、まだ市販には至っていないレベル4搭載車であるが、2030年には72万6,000台になると予測されている。
以下は矢野経済研究所が公表している予測値の数字だ。2030年はレベル3とレベル4を合わせて697万8,500台となり、冒頭触れたように、レベル3以上の搭載車両は700万台規模となる。
2020年と比べて、2021年で最も市場が拡大したのはレベル2で、2024年にはレベル1の搭載台数を超えて3,000万台以上になる見通しだ。
■レベル3はまず高級車中心に搭載か
レベル3は今後の市場拡大が期待されており、まず高級車種のEVを中心に搭載されていく見通しとなっている。レベル4はMaaS用車両がメインとなるとみられている。自動運転シャトルなどの実証が各国で進んでおり、2025年以降に本格的に運用される見通しのようだ。
さて実際にはどうなるか、今後の市場の動向も要注目だ。
▼自動運転システムの世界市場に関する調査を実施(2022年)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3043
【参考】関連記事としては「自動運転車の市場調査・レポート一覧(2022年最新版)」も参照。
大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報)
【著書】
・自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
・“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)