テスラの自動運転ソフト「1万5,000ドルの価値ない」

搭載車両オーナー、13人中11人が否定的意見



CNN Businessが興味深い聞き取り調査を行っている。聞き取りを行った対象は、テスラの「FSD(Full Self-Driving)」という有料オプションを搭載しているテスラ車のオーナーだ。


FSDを日本語に訳すと「完全自動運転」となり、先日この有料オプションの買い切り価格は1万5,000ドル(約210万円)に値上げされたばかりだが、CNN Businessがオーナー13人に話を聞いたところ、13人中11人が「(FSDに)1万5,000ドルの価値はない」と感じたようだ。

【参考】関連記事としては「テスラの自動運転技術(2022年最新版)」も参照。

■「手動運転より注意を払う必要あり」

テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は2022年9月5日、FSD β版の新バージョンをリリースしたあと、買い切り価格が1万5,000ドルに値上げされる旨をTwitterでツイートした。

こうしたことを受けてCNN Businessが行った前述の調査で、多くのテスラ車のオーナーがFSDの価格設定に疑問を抱いていることが明らかになった形だ。


そもそもFSDは「完全自動運転」と称しているものの、実際には自動運転機能はまだ搭載されていない。将来的には搭載するとマスク氏は語っているが、それがいつになるかは分からない。

またテスラ車のオーナーの中には、FSDを使うと予期できない走行動作が起きることもあるため、自動運転で運転しているときも注意を払わなければならない、と語っている人もいるようだ。

FSDを購入するのであれば、より価格が安い「Enhanced Autopilot」(※標準パッケージの「Autopilot」の上位版)を支払うべきだ、と指摘しているテスラ車のオーナーもいるという。

■肯定的な意見も、早めの購入がお得?

ただし、全員が全員、FSDを高額すぎると感じているわけではない。CNN Businessがインタビューした中には、新しい技術を試すのが好きで、FSDの最終形がどのようになるのかに期待し、価格が適正だと主張する人もいる。


FSDは徐々に値上げを繰り返しているため、早めに購入した方が安くつく。もしテスラが完全自動運転機能をFSDに搭載したら、価格はもっと上がるはずだ。そう考えると、いまのうちにFSDを買っておくのは賢い選択、と考えることもできる。

それにしても、テスラに関しては日々話題に事欠かない。

【参考】関連記事としては「また絵に描いた餅?マスク氏「年内に自動運転車」発言」も参照。

記事監修:下山 哲平
(株式会社ストロボ代表取締役社長/自動運転ラボ発行人)

大手デジタルマーケティングエージェンシーのアイレップにて取締役CSO(Chief Solutions Officer)として、SEO・コンテンツマーケティング等の事業開発に従事。JV設立やM&Aによる新規事業開発をリードし、在任時、年商100億から700億規模への急拡大を果たす。2016年、大手企業におけるデジタルトランスフォーメーション支援すべく、株式会社ストロボを設立し、設立5年でグループ6社へと拡大。2018年5月、自動車産業×デジタルトランスフォーメーションの一手として、自動運転領域メディア「自動運転ラボ」を立ち上げ、業界最大級のメディアに成長させる。講演実績も多く、早くもあらゆる自動運転系の技術や企業の最新情報が最も集まる存在に。(登壇情報
【著書】
自動運転&MaaSビジネス参入ガイド
“未来予測”による研究開発テーマ創出の仕方(共著)




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